少女時代のクォン・ユリが出演しているというのが話題の韓国ホラーです。
私自身はKPOPをほぼ聞かないので少女時代も名前だけしか知りません。
サイコパスの少女を描くサスペンス・ホラーで、
序盤が幼女時代、中盤以降がその20年後という2部構成になっていました。
水泳インストラクターのヨンウンは7歳の娘ソヒョンと二人で暮らしています。
ヨンウンは包丁をしまう戸棚にはいちいち錠をかけていて不穏な雰囲気が漂っていました。
ソヒョンは気に入らないことがあると、いじめや暴力行為を行う問題児で、
幼稚園も退園させられてしまいます。
ヨンウンは心の休まる時間がない日常に追い込まれていますが、
ソヒョンを入院させる機会があったにもかかわらず、
拒否して夫にも去られているという設定なので自業自得という印象もありました。
ソヒョンの行動はエスカレートしていき、ナイフまで使うようになってしまいます。
心の弱ったヨンウンは無理心中を図りソヒョンとともにプールに沈もうとしますが、
切りつけられた傷からの出血で力尽きてしまい自分だけが沈んでいきます。
それほどの深手には見えなかったのですが、
神経をすり減らして瘦せ細っていたので、
以前から貧血症になっていたのかもしれません。
そして20年後、ミン(クォン・ユリ)は死者の出たアパートの部屋などを清掃する特殊清掃専門の零細企業に勤めています。
そこにヘヨンが入社してきました。
二人とも孤児ということで、はたしてどちらがソヒョンなのか、
というのが中盤のポイントになっています。
まあ普通に予想通りの展開なのですが。
やがてソヒョンは周囲の人たちを懐柔し、
もう一人をおとしめようと画策し始め、殺人へとエスカレートしていきます。
ここらへんが邦題の「侵蝕」なのでしょうが、あまりピンときません。
粘液質な展開ではありますが、
ドロドロが得意な韓国映画としてはむしろあっさりした描写と感じました。
ソヒョンの正体を探るべく孤児院を訪ねたりするお馴染みの展開となっていきますが、
謎解き要素は中途半端に終わり、
いきなり誰がどうやって撮ったのかも分からない証拠動画が出てきたりして、
やや腰くだけなのが残念でした。
それなりに楽しめるホラー映画なのですが、
邪悪な子供というテーマのホラーは「エスター」(2009)を筆頭に、
「悪を呼ぶ少年」(1972)、「マイキー」(1991)、「危険な遊び」(子役時代のマコーレー・カルキンとイライジャ・ウッド共演作です。1993)などの佳作があるので、
新鮮味には欠けています。