このゲームは、実際にプレイしたことはないのですが、
あのと阿佐ヶ谷姉妹がプレイするテレビ番組を見たことがあるので、
概要は分かっていました。
不条理な状況から抜け出すゲームでストーリーはありません。
どのように映画化するのか興味津々でした。
地下鉄で赤ん坊が泣いてしまった母親をクズそうな男が怒鳴りつけています。
二宮和也扮する主人公は音楽を聴いて聞こえないふりをしてしまいました。
主人公は別れることになった恋人から電話で妊娠を告げられ動揺します。
気がつくと主人公はループする地下通路に迷い込んでいました。
0から始めて8番出口に達しなければ抜け出すことはできません。
異変を見つけたら引き返し、
何もなければそのまま進みます。
映画では主人公がすれ違い続ける不気味な男の話が描かれたり、
異変ではない子供が現れたりします。
ゲームでは男が突然追いかけてくるケースもあったように思いますが、
映画にそのような展開はありません。
映画では地下通路が主人公の心に抱いた葛藤の世界となっているように感じました。
間違った出口を選んでしまえば心を失ったNPCのような存在となって人生を過ごすことになります。
はたして主人公は正しい選択にたどりつくことができるのかというドラマです。
実をいうとラストは地下鉄で怒鳴る男を注意した主人公が、男に刺されてしまうバッドエンドを想像してしまったのですが、
そうはならずに安心しました。
感動的とまではいきませんが、
後味良く楽しめる作品にまとまっていました。
この作品を観て昔「SFマガジン」で読んだ短編漫画を思い出しました。
タイトルも作者も忘れてしまいましたがストーリーはよく覚えています。
主人公は地下鉄を使って通勤していて、
毎日同じルートで地上に出ていました。
ある日、主人公はは初めて違うルートを使って出ようと思いつきます。
ところが見知らぬデパ地下に迷い込んだりを繰り返して地上に出られなくなってしまいました。
主人公はとにかく上階をめざせばなんとかなるだろうと歩き続けます。
ようやく主人公が出口を見つけたと思ったら、そこはビルの屋上でした。
振り返るとそこには深淵のような階段の見える屋上の出入り口が待ち構えています。
その中に再び戻る勇気を出せなくなった主人公はビルから飛び降りてしまう、
という不条理スリラーでした。