フランソワ・ド・ルーベが映画音楽を作曲するようになったきっかけについては、
関係した映画の予算が足りなかったため自分で作曲したことだったという記事を読んだことがありました。
今回Wikiなどを調べたところ、フランソワ・ド・ルーベはトロンボーンを演奏するジャズ・ミュージシャンで、
5短編教育映画をを中心に製作・監督をしていた父親のポール・ド・ルーベが予算の都合で息子に作曲を依頼したということのようです。
フランソワ・ド・ルーベは1975年にカナリア諸島のテネリフェで趣味だったダイビング中の事故により36歳の若さで亡くなっています。
訃報は新聞には載らなかったと思います。
キネマ旬報の小さな記事で知ってショックを受けた記憶があります。
映画音楽作曲家としての活動期間はわずか約10年という短さですが、
フレンチ・ノワールをメインに数多くの作品を担当しました。
特に名匠ロベール・アンリコ監督とは初期の短編で組んだこともあってか、
全盛期の作品を多く手掛けています。
このCDには、ロベール・アンリコ監督作の中から
「男たちの掟」(1965)、「オー!」(1968)、「Les caïds」(1972)、「追想」(1975)の曲が収録されています。
「男たちの掟」は観たことがないのですが、リノ・バンチュラが主演したコメディタッチの犯罪映画のようです。
6曲が収録されていてギター、パーカッション、ハモニカといった少ない楽器数で豊かな表現を見せています。
「オー!」は暗黒街でオーと呼ばれてのし上がった男の生き様死に様を描いて、
ジャン=ポール・ベルモンドのノワールのジャンルでは代表作となった作品です。
4曲が収録されていて、
ピアノの速弾きで軽快にテーマを奏でる「Benedicte」が特に印象的でした。
「Les caïds」は日本未紹介の作品でセルジュ・レジアニが主演した犯罪アクションのようです。
4曲が収録されていて,テンポの速いテーマ曲「Les caïds」が犯罪映画らしいスリリングな印象の曲になっていました。
「追想」は第2次世界大戦下のフランスでナチスに妻子を惨殺された男の復讐を描いた傑作です。
温厚な中年男を演じることが多かったフィリップ・ノワレが見せる怒りと哀しみに満ちた演技とロミー・シュナイダー美しさが強く印象に残ります。
オープニングとエンディングに主人公家族が楽しそうに田舎道をサイクリングする光景が描かれ、
オープニングではのどかで幸せそうだった同じ光景が、ラストでは哀しく切ない想い出として映ることに心が動かされました。
「追想」という邦題はこのことからつけられたのではないかと思います。
原題はLE VIEUX FUSIL(古い銃)です。
7曲が収録されていて、アレンジを変えて演奏されるテーマのメロディがとにかく素敵で、
フランソワ・ド・ルーベは、この作品で1976年の第1回セザール賞作曲賞を受賞しました。