映画感想 シドニー・スウィーニー主演ホラー「IMMACULATE 聖なる胎動」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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冒頭、修道院を脱走しようとした修道女の悲惨な末路が描かれます。
観客サービスなのでしょうが、本筋には関わってこないエピソードで、
修道院に悪があると分かってしまいミステリアスな趣きが失われてしまっているので、
なかった方が良かったかなと思いました。

シドニー・スウィーニーが演じるヒロインのセシリアは幼いころ凍った湖に落ち奇跡的に蘇生したことから神に仕える道を選んだ若い修道女で、
それまでいたアメリカの修道院が廃止となり、イタリアの古い修道院に招かれてやってきます。

人里離れた地下墓地(カタコンベ)の上に建造されたという古風な修道院は、いかにもな雰囲気があります。
何もない土地にまずカタコンベが作られた、というのはちょっと不可思議な気もしますが。
ちなみに終盤にカタコンベが登場する場面は、実際のローマのカタコンベでロケが行われたそうです。

序盤で描かれる修道院の平穏な日常の場面で使われる劇伴音楽が、
あまりにも軽くて明るいポップ調なのことにちょっと違和感を覚えました。

セシリアは悪夢を見たり、深夜の人影に怯えたりするうちに、
突然身体検査されて妊娠が判明します。
処女懐胎です。

奇跡が起きた、と崇められるようになり、
事情もよくわからないまま状況を受け入れるセシリアですが、
恐ろしい出来事が連続して起こり、
身の危険を感じるようになっていきます。

ゴシックホラー的な雰囲気の中に、
血みどろのゴア描写もちりばめられていて、
上映時間が短めなこともあってテンポも良く、
意外な拾い物といえる出来栄えでした。

やがてセシリアは修道院に隠された恐るべき秘密を知って反撃を開始するのですが、
武器として使うのが十字架、ロザリオ、聖遺物とキリスト教がらみなのも皮肉が効いています。
終盤は破水しかけた妊婦がここまでパワフルに動けるのか、とも感じられましたが、
ヒロインの狂信者に自分の信心を踏みにじられたという怒りが原動力になっているのかもしれません。
その怒りはラストの行動にも表れていると感じました。

Wikiによると、この作品は2014年に企画されシドニー・スウィーニーもオーディションを受けていましたが、やがて企画が頓挫して、シドニーが脚本を買い取ったそうです。
その後、監督を「観察者」(2021)で組んだマイケル・モーハンに頼み、自分が製作・主演に決まって女子高生だったヒロインを修道女に設定を変えて脚本を書き直させたようです。
製作費を900万ドルに抑えて世界興収は3500万ドルを上げたということなので、
なかなかの才人なのかもしれません。