人気ホラー・ドラマ第2作「事件記者コルチャック/ナイト・ストラングラー」 | 隅の老人の部屋

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(ネタバレあり)

原題;THE NIGHT STRANGLER
製作年;1972
監督;ダン・カーティス
脚本;リチャード・マシスン
音楽;ボブ・コバート
出演;ダレン・マクギャヴィン、サイモン・オークランド、ジョー・アン・フラッグ

第1作のラストでラスヴェガスを追放されたコルチャックが、移動先のワシントン州シアトルで再び連続殺人事件の調査をすることになります。
当初は1作目と同様にテレビ1時間半枠での放送用に74分前後に作られたのが、
劇場公開も視野に入れて90分に再編集されたとのことです。

冒頭、「オマーズ・ランド」というクラブのベリーダンサー、メリッサが帰宅途中を襲われる。

コルチャック(ダレン・マクギャヴィン)は記者仲間にラスヴェガスの吸血鬼事件を吹聴している。
周囲からはホラ吹き男と思われているのか、白い目で見られているが本人は気にしていない。
そこにラスヴェガス時代の上司ヴィンチェンツォ(サイモン・オークランド)が現れる。
結局、ヴィンチェンツォも飛ばされて、再びコルチャックの上役となったのだ。

コルチャックはメリッサ絞殺事件の調査を命じられる。
第2の事件が起こり、やはりベリーダンサーのエセルが殺害された。
まずコルチャックはメリッサの同僚グラディスを訪ねる。
グラディスはウィルマという女性と結婚していたが、特に情報を得ることはできなかった。
次にエセルの同僚、ルイーズ(ジョー・アン・フラッグ)に話を聞こうとするが、
彼女は学生で登校する時間だったため話すこともできずに終わる。

次の犠牲者はウェイトレスのゲイルだった。
翌日、シアトル警察のシューベルト長官、郡検視事務所のウェッブ医師らによって記者会見が行われる。
死体の脳近くに針で刺したような痕が認められたが、特に血液が減少してはいなかった。

コルチャックは担当検視官をスコッチで買収して情報を聞き出す。
犠牲者は人間離れした力で首を絞められており、喉にはまるで死者が絞め殺したかのように腐った肉片が付着していた。

仕事帰りのルイーズと話していたコルチャックは観光客の集団に出くわす。
ルイーズによると道路の下にオールドシアトルと呼ばれる廃墟群があり、その地下探検ツアーなのだという。

デイリー・クロニクル資料室勤務でシアトルの秘密の守護者と呼ばれるタイタス・ベリーが1952年にも同様な連続殺人が起きていたことを発見する。

デート帰りの女性が殺人現場に遭遇、犯人は死人のような顔をしていた。
タイタスはさらに1931年にも連続殺人があったことを調べ出す。結局1989年以降21年ごとに事件が起きていた。
犯人の似顔絵を掲載したデイリー・クロニクルにシューベルト長官が激怒。コルチャックにはラスヴェガスのデジャヴに思えた。

巡回中のパトカーが犯行直後の現場に遭遇、犯人を追跡するが警官二人がかりでもかなわない。
駆けつけたコルチャックは犯人の撮影に成功するが、シューベルト長官にカメラごと取り上げられてしまう。

コルチャックはルイーズとともに地下探検ツアーに参加する。
二人はツアーの順路を外れて脇道に入った。
その先にはローソクの灯る部屋があり、浮浪者の老人(アル・ルイス)が住みついていた。

さらにコルチャックはルイーズの紹介で大学のクラブウェル教授(マーガレット・ハミルトン)に面会する。
神秘学に詳しい教授の話によると、不老不死の秘薬の材料には人間の血も含まれているとのことだった。
コルチャックは犯人が不老不死の秘薬を服用しており、効果が21年で切れるために新たな材料集めが必要になるのだと推理する。

タイタス・ベリーがマーク・トウェインが執筆した古い記事を見つけてきた。
それはリチャード・マルコムという医師が、不死について語ったインタビュー記事だった。
ベリーの調べによるとマルコム医師は1882年にウェストサイドマーシー病院を開業していた。
その病院は現在リチャード無料診療所となっている。
コルチャックは病院を訪れ、ロビーに飾られた医師マルコム・リチャードの肖像画が、インタビュー記事に載っていたリチャード・マルコムの似顔絵とそっくりなことを発見する。

コルチャックはリチャード・マルコムとマルコム・リチャードが同一人物で一連の事件の犯人だと推理し、ベリーの協力でこれまでの資料を整理して評議会とデイリー・クロニクルの社主クロスバインダー(ジョン・キャラダイン)を説得しようとするが、結局ダメだった。

コルチャックはルイーズに囮になってもらい、犯人をおびき寄せようとする。
だが二人はシューベルトが率いる警官たちに連行されてしまう。

コルチャックは診療所の地下室に侵入する。
その奥はシアトルの地下都市につながっていた。
そこでコルチャックは先日出会った老浮浪者の死体を発見する。
音楽が聞こえ、コルチャックは音のする方へと進む。
部屋の中を探っていると、マルコム医師が姿を現わした。

マルコム医師は自分の研究が人類の役に立つと説く。
だが不死の秘薬の効果は永続しない。
そのたびに人間の血を手に入れる必要があった。
マルコムは不老不死のための多少の犠牲など気にしていなかった。
ついに出来上がった秘薬をマルコムが飲もうとしたとき、コルチャックは机上にあったビンを投げつけて秘薬のフラスコを割る。
秘薬が失われ激怒したマルコムがコルチャックに襲いかかり、怪力を発揮して首を絞める。
だが、ついに秘薬の効力が切れた。
マルコムは一気に老化していく。


そこにシューベルト率いる警官隊が突入してきた。
マルコムは窓を割って飛び降りて死ぬ。

意気揚々と出社してきたコルチャックは、自分の書いた記事がボツになったことを知ってヴィンチェンツォにかみつく。
コルチャックの記事は、20部刷ったところで社主クロスバインダーに差し止められていた。
腹立ちまぎれにコルチャックが編集長室のガラスを割って出て行ったとき、ヴィンチェンツォにクロスバインダーからの電話が入った。

後日、コルチャックはハイウェイで車を走らせている。
その隣にはヴィンチェンツォの姿があった。
結局二人ともニューヨークに飛ばされたのだった。
二人がグチっていると後部座席からルイーズが起きだしてきた。
彼女も学位取得寸前で退学させられてしまったのだ。
くされ縁の3人を乗せた車が夜にハイウェイを走っていくのだった。

今回はランニングタイムが長くなり、
資料室の主タイタス・ベリーの活躍もあって探偵趣味的な味わいが増しています。
クライマックスは不老不死を扱ったホラーとしてはお約束の展開ではありますが、
人気シリーズ「DARK SHADOWS」(1966~)や、その映画版「血の唇」(1970)、「血の唇2」(1971)でホラー演出になれたダン・カーティス監督の手際の良さもあってまとまりの良い作品に仕上がりました。
前作の大成功を受けてラストもシリーズ化を視野に入れた楽しいものになっています。
次の作品はシカゴを舞台としたテレビ・シリーズ版となり、
ルイーズは登場せず、くされ縁のコルチャックとヴィンチェンツォのやり取りはユーモラスさを増したものになっていました。

本作はキャスティングもちょっとマニアックになっていて
クラブウェル教授役のマーガレット・ハミルトンは名作「オズの魔法使い」(1939)で意地悪なガルチ夫人と西の魔女を演じていました。

老浮浪者役のアル・ルイスは人気シリーズ「マンスターズ」のおじいちゃんとして有名です。

クロスバインダー社主のジョン・キャラダインは西部劇史上の傑作「駅馬車」(1939)で名演を見せました。
ジョン・キャラダインは私生活では破産状態にあったといわれ、「ビリー・ザ・キッド対ドラキュラ」(1965)などZ級ホラーにも多く出演しています。