アメリカとカナダでは「ミッション:インポッシブル/ファイナル・レコニング」を超えるヒットとなった作品ですが、日本ではひっそりと公開されました。
1930年代、アメリカ南部の田舎町にシカゴから双子の黒人ギャング・スモークとスタックが戻ってきます。
1931年に逮捕されたアル・カポネの配下ということなので、
そのどさくさに酒を持ち出したという設定なのかもしれません。
この双子を「ロッキー」のスピンオフ「クリード」シリーズのマイケル・B・ジョーダンが一人二役で演じていて、
南部の他の連中とは一味違うシカゴ帰りのスマートなギャングぶりが魅力です。
二人は廃止された製材所を買い取り酒場を開こうとします。
最初に組んだのは、いとこでブルース・ミュージシャン志望の青年サミーでした。
サミーは、父親が厳格な牧師なのでプリーチャーボーイと呼ばれていて、
父親からは音楽活動は冒涜的だと反対されています。
この父親は、なんだか後から登場する魔物たちより恐ろしげに見えました。
この作品では音楽が重要な要素となっていて、
サミーを中心に演奏されるブラック・ミュージックが大きな魅力になっています。
その他、老ミュージシャン、中国系の夫婦、スモークの奥さんなど、
仲間を増やしていく過程が軽快に描かれて、
この辺りにはワクワク感があって楽しめました。
一方、まだまだKKKが暗躍する時代でもあって、
KKKの団員であるホワイト・トラッシュの夫婦が、
闇の存在である男に襲撃されます。
開店初日で宴を繰り広げる酒場に、この3人が姿をあらわすところから、
物語は一気にアクションホラーとなっていきました。
大雑把な言い方をすれば、南部の黒人版「フロム・ダスク・ティル・ドーン」です。
店の側が人間なので、逆の設定ではありますが。
ただし、ドラマとしての完成度はこちらの方が上と感じました。
スモークと家族の物語の顛末はなかなか感動的です。
タイトル「罪人たち」は
教会を捨て音楽で生きることを選んだ者、闇に生きる存在となった者を指していて、
反語的な意味で使われているのではないかと
ラストを見て感じました。