無痛症は自分が致命傷を負っても気づかない可能性がある危険な症状で、
ドラマやコミックでは命がけの戦い挑むクライマックスで痛覚を絶って臨んだりすることがあります。
本作の主人公ネイトはとにかく慎重に生きていて、
舌を噛み切っても気づかないかもしれないと固形物を食べず、
膀胱が破裂しても気づかいないかもしれないと3時間ごとにアラームを仕掛けてトイレに行っています。
仕事以外は家で過ごし、趣味といえばオンラインゲームのみ。
よほど暇を持て余したのか無痛を利用して腹や左腕に自分でタトゥーを入れたりもしています。
そんなネイトに初めてできた恋人シェリーがサンタ姿をした残虐な3人組の銀行強盗に人質として連れ去られてしまいます。
駆けつけた警官隊は銃撃戦で全滅、意を決したネイトはパトカーを奪って追跡を開始、
これまでの生活の反動が起きたかのような無茶な戦いに身を投じていきます。
強盗一味の一人とレストランの厨房で、
次いで男の身元を調べるために訪れたタトゥー・ショップでと死闘を続け、
男の住居に踏み込むと訳のわからぬトラップだらけ。
いくら痛みがなくても筋肉や神経がズタズタだろうと思える状態に陥っていきますが、
ネイトは決してあきらめません。
細かいことなど気にせずに、ご都合主義といわれようと力技で押し切るB級魂が炸裂した快作です。
味方といえば直接会ったことのないゲーム仲間、自称ジェイソン・モモア似の男一人だけ。
さらにシェリーにも秘密があり、
事件を追う二人の刑事も加わって
テンポよく進むストーリーも飽きさせません。
犯人たちがなかなかの不死身ぶりを発揮して楽しませます。
主人公を演じたジャック・クエイドは「ハンガー・ゲーム」(2012)や「ランペイジ 巨獣大乱闘」(2018)で見ているはずですが憶えていませんでした。
両親がデニス・クエイドとメグ・ライアンということもあって今後の活躍が期待されます。