中盤までは「ベイビーわるきゅーれ」シリーズの阪本裕吾監督らしい二人の女子大生のゆるい日常が描かれています。
今回は監督として(多分)初の原作ものということで気になって映画鑑賞後に原作を読んでみました。
思いのほか原作に沿った映画化だと分かって驚きました。
青春ものとしての将来への不安や焦燥感などはコミックのほうが描き込まれているように感じましたが、
映画は音楽を実際に聞かせることができるという利点をうまく生かして、
音楽ドラマとしての側面を持たせることに成功しています。
クライマックスのコンサート場面でも実際に曲が聞けることによって、平祐奈演じるルカが望むものとの方向性の違いが分かりやすくなっていました。
平裕奈は短編「Blind Mind」(2021)以来でしたが、歯切れのいい演技で歌唱シーンも格好良く決まっています。
久保史緒里の出演作では「リバー、流れないでよ」(2023)を見ています。
そのときは重要なキャラクターだけども出番は少なめで強い印象は受けなかったのですが、
今回は日常感のある演技で好感が持てました。
原作との最大の違いはバンドのメンバーがキャラクターとしてはっきり登場することです。
原作ではバンドメンバーの顔が分かるのは背景的に描かれた1コマだけで
バンド名も終盤でコマ外に(先輩のバンド)と注釈がつけられるほど印象の薄いものになっています。
それと萌えナビの末路も笑えました。
ちなみに映画も原作も、キャンパスの描写がないこともあって大学生感はどちらもあまりなかったと思います。