直接諜報活動に携わっていなかったCIA事務官が活躍する作品には
ロバート・レッドフォードが主演した名作「コンドル」(1975)がありました。
今回は妻の復讐がテーマとなっていて、
その点ではより感情移入しやすいと言えるかもしれません。
主演のラミ・マレックは
「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」(2020)ではエキセントリックな演技が光っていたものの
ブロフェルドを超える最大の敵としてはやや線が細い印象を受けてしまいました。
それに比べても今回は見事なハマり役です。
ストーリー的には微妙な部分もあって
主人公は直接敵を銃殺できないけど
リモートなら惨殺できるという二面性を持っていて
この心の闇の部分がもう少し描き込まれていたらと感じました。
一番説明不足に感じたのが刺客として送り込まれたヘンダーソンが襲撃されるシーンです。
黒幕の敵対勢力とかは描かれていないので
単純に彼も口封じの対象になったということなのでしょうが、
タイミングが悪すぎて主人公の味方をしているように見えます。
通常なら刺客がミッションを達成したところを襲撃する展開でしょう。
後半に姿を現わす主人公の旧友であるエージェントがいますが、
この旧友が主人公を助けようとして命を落とすという展開にすれば説得力があったのではないかと思いました。