テレビ・ホラードラマの思い出 | 隅の老人の部屋

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映画やドラマの紹介。感想を中心に
思い出や日々の出来事を書き込んでいこうと思います。

以前には海外のホラーコメディ「マンスターズ」について書いたので、
今回はシリアスなホラードラマについて書いてみようと思います。

とは言ったものの、
「ミステリーゾーン(トワイライトゾーン)」(1959~)、「アウターリミッツ(ウルトラゾーン)」(1963~)のような1話ごとに独立したオムニバス物は、
「世にも不思議な物語」(1959~)、「四次元への招待」(1970~)などのようにけっこうな作品数が放送されていますが、
連続したドラマはあまり放送されていません。

1番古く覚えているのは「透明人間」(1958~)ですが、
これは透明人間になってしまった主人公が包帯に身を包んで事件を解決していく、
どちらかというと冒険物に近い趣のドラマだったと思います。
クライマックスで敵と対決するときに包帯を解いて透明人間として戦うのが見せ場でした。
1975年に「0011ナポレオン・ソロ」(1964~)のデヴィッド・マッカラム主演で製作された「透明人間」もあって、
こちらは見ていませんが、やはり冒険物だったようです。

その次というと人気作「事件記者コルチャック」(1974~)まで飛んでしまいます。
「Ⅹファイル」の原点になったといわれるシリーズですが、
「エクソシスト」(1973)のヒットでホラー物が注目されている時期でなかったら放送されなかったかもしれません。
1時間ドラマ中に普通の中年記者が怪異を解明・解決するので
ややあっけない展開のエピソードが多かった気もしますが、
主演したダレン・マクギャヴィンの飄々(ひょうひょう)とした持ち味と相まって軽く楽しめるシリーズになっていました。

日本で放送された作品のほかにアメリカでホラードラマが製作されていたかどうかよく知らないのですが、
ティム・バートン監督によってリメイクされた吸血鬼が主人公のゴシックホラー・ソープオペラ「DARK SHADOWS」(1966~)が成功を収めたりしているので、
皆無ということはないと思います。
当時の日本ではホラー物が特殊な立ち位置にあったということかもしれません。
邦画でも「エクソシスト」(1973)がヒットしてホラー映画が注目されるまでは、
大手では夏のお盆時期に怪談物が製作されるほかは、かなり限られていたようです。
新東宝や東映のエログロ路線作品には例外も多そうですが。

日本のテレビドラマでは「恐怖のミイラ」(1961)、「悪魔くん」(1966)、「怪奇大作戦」(1968)などの子供向け作品か、「日本怪談劇場」(1970)、「日本名作怪談劇場」(1979)などのような夏シーズンに放送される怪談オムニバス程度という気がします。
かなり長期にわたって続いた「木曜の怪談」シリーズ(1995~)も若年層向けでした。
余談ですが人気のあったシリーズ「ザ・ガードマン」(1965~)でもお盆時期には夏の怪談シリーズを放送していた記憶があります。

現在でもホラー系のドラマは、たいがい深夜枠で放送されているので、
基本的にお茶の間向きではないとする傾向があるのかもしれません。
1969年に丹波哲郎主演でゴールデンの時間帯放送向けに製作された「ジキルとハイド」も一旦お蔵入りして1973年に深夜枠で放送されました。
これは温厚な初老の学者が自分の開発した薬品により、若返って凶悪犯罪者となり殺人やレイプを繰り返す、純正なホラーというよりはノワール寄りな作品で、
露口茂が扮した刑事も追う側であったはずが狂気にとらわれていくなど、
かなりダークな内容でした。
現在の地上波では放送不可能なのではないかという気がします。

ゴールデンの時間帯に放送されたホラー作品もあったとは思うのですが、
連続ドラマとしてすぐに思いだせるのは映画版とリンクする形で製作された「アナザヘヴン~eclipse~」(2000)くらいです。
大沢たかお扮する停職中の刑事が女性の失踪事件を追ううちに巨大な陰謀に巻き込まれていくという内容で、けっこう難解な作品でした。
終盤で唐突にSFファンタジー展開になって脅かされました。
大沢たかおはインタビューで最終回が放送される頃には撮影終わって逃げてるよ、みたいな冗談を言ってたと思います。
怪しげな謎の男を篠井英介が演じていたり、当時ホラー作品に多く出演していた佐伯日菜子やデビュー間もない柴崎コウが顔を出していたりとか見どころの多い作品ではありました。

海外ホラードラマとしては「事件記者コルチャック」からかなり経って「13日の金曜日」(1987~)が放送されました。
これはジェイソンが殺しまくる映画とは全く無関係で、
骨董品店を相続した男女が、骨董品から発動した呪いに巻き込まれ、その呪いを解いていくというシリーズだったと思います。
細かくは覚えていないのですが、わりと良くできていた気がします。

その次には「狼女の香り」(1990~)が放送されていて、
狼女になってしまった女子大生が、神秘学の教授とともに元に戻る方法を探しながら怪奇事件を解決していくというシリーズらしいのですが、残念ながら見ていません。

そうしていよいよ人気を博した「Ⅹファイル」(1993~)と「ミレニアム」(1996~)が放送されるのですが、有名作なので今回は割愛して、
その間に製作された「アメリカン・ゴシック」(1995~)を最後に紹介します。
日本での放送は1997年とあるので「ミレニアム」より後だったようです。
架空の田舎町を舞台に実は邪悪な存在である保安官ルーカスが町を支配しようと暗躍し、
人妻をレイプして生ませた子ケイレブを手に入れようとその家族を殺害、
ケイレブを邪悪な存在に育てるため養子にするという展開でした。
やがてケイレブは霊能者として覚醒し始め、殺された姉が守護者的な役割の幽霊となって彼を善に導こうとします。
正確には覚えていないのですが、最終回ではケイレブがルーカス保安官に対抗する存在としての立ち位置を確立していたと思います。
製作がサム・ライミというだけあって、なかなか見ごたえがありました。
原田眞人監督の「ガンヘッド」(1989)にも出演していたブレンダ・バーキが、ルーカス保安官の協力者である教師を演じています。
Imdbには1998年にシーズン4として4話が製作されたとあるのですが詳細は分かりません。

この時期あたりから「バフィー~恋する十字架~」(1997~)や「チャームド~魔女3姉妹」(1998~)などのティーン向けホラーを中心に多くのホラー系ドラマが日本にも紹介されるようになっていきますが、衛星放送、ソフトリリース、配信などがメインとなり、地上波で放送されることはまれになっていきました。