映画感想 驚愕の暴走ホラー「サブスタンス」(ネタバレあり) | 隅の老人の部屋

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若返りがテーマかと思って見たら分身物だったので序盤から驚かされました。
とにかく意外性という点では圧倒的な作品です。
レイプの復讐を描いた「REVENGE リベンジ」(2017)でも力強い演出を見せた女流監督コラリー・ファルジャが、
パワー全開で初老を迎えた女優が破滅していく姿を描いていきます。

 

 

 

「ドリアン・グレイの肖像」にインスパイアされた部分があるのかな、
とか考えながら見ていると
終盤では血みどろの展開になって
こうきたかと思う間もなく
さらにエスカレートしてグチャグチャ化していきます。
スチュアート・ゴードン監督の「ZOMBIO/死霊のしたたり」(1985)「フロム・ビヨンド」(1986)に
ピーター・ジャクソン監督の「ブレインデッド」(1992)を掛け算しちゃったような展開でした。

この作品がアカデミー作品賞、主演女優賞、監督賞、脚本賞ノミネートでメイクアップ&ヘアスタイリング賞受賞というのは
時代が変わったことを思い知らされます。
最近はラジー賞がつまらなくなったなと感じることが当然だったと納得させられました。
デミ・ムーアにとっては起死回生の一作で、ぜひ「何がジェーンに起ったか?」(1962)をブラックコメディ化リメイクして主演してほしいところです。

デニス・クエイドのアクの強い演技も見どころの一つといえるでしょう。

演出としては、通常作品よりアップ映像が多いと感じました。

女優としてはかなり厳しい撮影だったのではないでしょうか。

よく考えると1週間交代で一般人がまともに生活することは困難です。
しかも交代中の記憶が共用されることもないようなので、若い姿で良い思いをすることもできません。
使用者にメリットは全くありません。
金を要求される描写もないので、目的は使用者の破滅のみと感じられます。
実は電話で話しているのは本物の悪魔なのではないのかと思えました。