長い風待ちのあと、風邪に吹かれて、さぁ煙草に火を点けようか。 | 所謂、ロックバンドとか、大塚友弘とか。

所謂、ロックバンドとか、大塚友弘とか。

僕の多岐に渡る音楽活動の中心となるロックバンドの活動をメインにして、個人的にもつぶやいてみようと言うブログです。音楽の事からサラリーマンである自分の事まで、様々にテクテク歩いてみようと思います。@ oldfield こと 大塚友弘

呆然としながらその人は風を待っていた。

同じ状況は長くは続かない事を、その人は経験から知っていた。

ただ、風向きが変わるのをミノムシのようにジっと待っていた。

一日に何十錠もの薬を食べながら。

一日にひと箱の煙草を燃やしながら。

行き交う人々に舌打ちをしつつ、全ての世界を見下しながら。


あぁ、俺は一体何を待っているんだろう。
どの風向きが変われば俺はたった一人の君に出逢えるんだろう。

もはや、愛を試す季節じゃない。

もはや、誰かを探す術もない。


愛を交換するには遅すぎた。

その人は、沢山の海をあきらめてきた。
ささやかな夢も、小さな愛も、そして大きな傷も。

愛してるぜ、世界よ。
さよならだ。

さぁ、風向きが変わった。
煙草に火を点けよう。

そして紫煙の向く方向へ、歩いて行こう。

風の向くまま、煙の行くまま。


見ろよ、街の灯を。
まるでゲームの画面のように浮いている。

もう俺は、現実の世界にはいないのかもしれないね。


一日に何歩、歩いたのかを常にチェックするような人生なら捨ててしまえ。
生きるために生きているんじゃないよ、俺は。


その人は歩き始めた。
風と共に。

その先に待っているものは………あれは…。



『風に吹かれて』エレファントカシマシ