「あの時の事は本当になんとお詫びしてよいやら…」
少し涙目になってしまった私におじ様があわてる。
「ユジン、もう昔の事じゃないか。気にしなくいいんだよ。」
「ユジンさん、ごめんなさい。そんなつもりじゃなかったんです。ただあの日お会いできていれば今日は初対面じゃなかったって事を伝えたくて。お葬式の時にもしかしたらお会いしてるのかもしれないですけど、急でしたし、僕も取り乱すおばや母がショックのあまり途中で倒れたりして、母方の親戚以外全く気が回らなくて。」
本当にサンヒョクのお家にはいろんな迷惑をかけている…。
サンヒョクがいなくなってしまったあの日の事を思うと今でも頭が真っ白になる。おじ様達になんて言葉を言ったのかしら?サンヒョクの顔を見て泣き叫び続けた事しか思い出せない。隣で私を支えていたのはチュンサンだったのか、母だったのかすら記憶になかった。
「この子たちですね。おじさんの孫であればサンヒョクの甥っ子姪っ子だ。そうすると僕たち血のつながった親戚だね。はじめまして。名前は何ていうの。」
二人とも恥ずかしがりながらも挨拶をする。
おじ様が私の心の内を察したかのように
「うん…。その色々な事は彼に話してあるんだ。だからユジンも安心して話して大丈夫だよ。彼はよくわかってくれてる。私達三人だけの秘密だ。お、サンヒョクも入れて四人だな。母さんにはまだ内緒だぞ。」
お墓の方を向いて言った。
「男の子はサンヒョクにも似てるかなあ。目のあたりとかそっくり。」
私もそう思う…。チュンサンとサンヒョクは異母兄弟だから似てるところがあるのも無理ないけれど。
それよりも息子の性格はサンヒョクに似ている。チュンサンは元々内向的ですぐ人に打ち解けるタイプではない。
息子は誰とでもすぐ屈託なく打ち解け、大人に対しては心置きなく甘えてくる。
性格はユジンに似たんだね、といわれるが私は甘えられない女の子だったと思ってる。父を早くに亡くして母の為に、妹の為にしっかりしなくてはと思っていたから。
サンヒョクは小さい頃から人見知りがなくて、そして子供の時は本当に甘えん坊だった。同じ学年なのにいつも私が「お姉さん?」と聞かれてよく憤慨していたものだ。
息子はそろそろ飽きてきたらしく、しきりに私の手を引っ張る。
「あっちに広場があるだろう?あっちでお兄ちゃんと雪だるま作ろう。」
サンヒョクそっくりの後ろ姿に歓声をあげてついていく息子。
娘は初対面の大きいお兄さんがまだ恥ずかしいらしく、私の手を握ったままだった。