「サンヒョク!?」
いや、違う…。
似ているけどサンヒョクではない。二十歳位だろうか。
隣にいるのはサンヒョクのお父様だった。
「やあ、ユジン。そろそろ来るんじゃないかと思っていたよ。こんな寒い雪の日にすまないね。子供たちも連れてじゃ大変だろう。」
いえ、雪の日ほど来たくなるんです。サンヒョクが寒くないかしらと…。それにこの子達サンヒョクの甥姪です。
この方は…?
「彼は私の妻の妹の子供なんだ。といってもお父さんが私の従兄弟にあたる。だから義理の甥でもあり、私とも血縁にあたるんだ。」
そうですか…。どうりでサンヒョクとも似ているはずですね。
「結婚した後、妻の両親から『妹の結婚相手で誰かいい人はいないか』と紹介を頼まれてね。その時私の従兄弟を紹介したんだ。残念ながら彼もつい最近亡くなってしまったが…。」
まあ、お気の毒に、何と言っていいか…。
「母一人子一人になってしまって、我が家で一緒に暮らさないかと誘ったんだ。我が家もサンヒョクがいなくなって夫婦二人っきりで部屋もずいぶん余っている。今は四人で賑やかに暮らしているよ。」
そうですか。それはよかった。おじ様達の事もとても気になっていたんですが、何分気がひけて…。
「当然だよ。ユジンは何も気にする事はない。一番の悪人は私だからね。妻には罪滅ぼしの意味を込めてお姫様のように付き従っているよ。」
おじ様のおどけたいい方につい声をあげて笑ってしまい、それにつられたかのようにおじ様も笑う。
よかった…!おじ様が笑っている!
「はじめまして。ユジンさん。おじからは聞いています。実は僕、子供の時サンヒョクの婚約式に父母と招待されていてお会いする予定だったんです。
でも新婦が現れなかったんで、招待客は帰る事になって結局ユジンさんには会えなかった。」
もう10年以上前だけれどサンヒョクとの婚約式…。
私は婚約式会場に向かう途中、交通事故で亡くなったはずのチュンサンを見かけた。動転した私は式の事はすっかり頭から消え、一晩中チュンサンを探し回ってしまった。
婚約式は贅沢かしらと思ったけれどサンヒョクやお父様がせっかくだから是非という事で行う事になった。それを私は無断ですっぽかして…サンヒョク、ご両親、そして母に大変な迷惑をかけてしまった。
続く