(再録)渡辺 保「江戸演劇史 ㊤㊦」(講談社・各2800円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.2.1既出)

コロナ禍で外出することが激減し、読書時間が増えたが、その合間にパソコンを見る機会も増している。パソコンは、朝昼晩と3回開きメールのチェックを行っているが、他に、ツイッターもよく見ている。以前からフォローしている内田 樹や武田砂鉄、小田嶋隆、町山智宏、岩田健太郎に加えて、最近は、明石市長 泉房穂のものを毎日見ている。近年、明石市が住みやすい町として注目(特に、子育て支援に関して)されているが、この市長があってのことだと考える。前の兵庫県知事選挙に担ぎ出す話があったようだが、本人の意思(故郷である明石市のために働きたいという)で実現しなかったのは残念である。

 

本の話である。渡辺 保「江戸演劇史 ㊤㊦」(講談社・各2800円+税)のことを。歌舞伎の評論では当代随一といってよい、渡辺 保の上下冊で1000頁を越える大部のものであるが、江戸時代の歌舞伎、能、狂言、文楽を通じて、日本の古典劇とは何かを知ることができる、著者にとっても記念碑的大作である。

 

「江戸演劇史 ㊤」 秀吉の死、「曽根崎心中」、二代目団十郎の青春、瀬川菊之丞初下がり、「忠臣蔵」の成立……歌舞伎、能、狂言、文楽…日本の古典劇とは何か? 鮮やかな筆致で描ききる記念碑的大作!

○書く決心をしたとき考えたことが二つある。○一つは、書くからには歌舞伎だけではなく、江戸時代に人々に愛された、能、狂言、文楽をふくめた演劇全体の動向を書きたい。そこには日本の古典劇の共通した感覚の基盤があると思っていたからである。○もう一つは読んで面白い歴史を書きたい。とかく歴史書は史実の羅列、無味乾燥に傾く。それでは面白くない。読んで面白くなければ歴史はつまらない。それには時代が浮かび、人物が生きていなければならない。断片的な資料をつなぎ合わせるだけでなく、そのはざまに生きた人間の鼓動が聞えてほしい。(あとがきより)

 

   

 

「江戸演劇史 ㊦」 「助六」三座競演、おるや騒動、歌右衛門江戸へ、半四郎の輝き、江戸城最後の謡初め……時代の鼓動、人間の感性を描き出す畢生の大作!

○変わらぬ部分と変わった部分。○そのはざまに歌舞伎の感性とそれぞれの時代の貌がある。それが歴史であると私は思い知らされた。(中略)○そして同時にこの大きな歴史の流れのなかに浮きつ沈みつしてその人生を送った大勢の人々を、私は考えざるを得なかった。その忘れがたい人々―上は天皇、将軍から下は演技者、興行師、作者、そしてなによりも無名の観客たち。見も知らぬ人々を私は実感し、そして想像した。(あとがきより)

 

   

 

写真は、東山丘陵で撮影する。