ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ 大都市の死と生」(鹿島出版会・3300円+税) | 野球少年のひとりごと

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午後3時で30度といよいよ本格的な夏到来で、2階の3つあるうちの2つの洋室(14帖の書斎と8帖の寝室)のクーラーを試運転する。暖房器としてはほとんど使って来なかった(部屋全体が暖まるのが嫌いで、来客時などを除いて普段は遠赤外線カーボンヒーターを使っている)ので、まずは内部クリーン機能で掃除をするなどの、そういう意味で試運転からのスタート。その最中に眠たくなって来たので、書斎の床に直寝するかたちで30分ほど昼寝をするとその傍で、3匹の猫たち(メラ、ロク、グレイの生後1歳3カ月半の、わが家にやって来て1年の雄の兄弟。他に、同じく6月で16歳になった先住猫チビ=小型の雌がいる)も同じように床で昼寝をはじめる。平和そのもののこのところの日常風景である。猫たちのことは、女房のブログ「コーラスガールのひとりごと」でご確認ください。

 

本の話である。本箱の中から未読のアメリカにかかわるもので、ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ 大都市の死と生」(鹿島出版会・3300円+税)とトーマス・フリードマン/マイケル・マンデルバウム「かつての超大国アメリカ(どこで間違えたのか どうすれば復活できるのか)」(日本経済新聞社・2400円+税)の2冊を読もうと思い机上近くまで持って来る。刊行はそれぞれ2010年、2012年であるが、「アメリカ」は私の読書生活のひとつの柱ともいうべきもので、学生時代(「ベトナム戦争」に対する関心からはじまって)から関連のものをずっと読み続けているが、本箱に未読のもの(小説を除き)がざっと100冊ほどある。これも最近集中的に読んでいる堤 未果に誘われてのことであるが、追々読んで行こうと考えている。

 

ジェイン・ジェイコブズ「アメリカ 大都市の死と生」 都市論のバイブル。そして地域の時代を超えた都市の原理。 都市とは、明らかに複雑に結びついている有機体である―1961年、“常識の天才”ジェイン・ジェイコブズが世界を変えた一冊。

 待望の完訳。1961年刊行の本書はアメリカの都市計画を変えるほど衝撃を与えた。にもかかわらず既訳は前半部分だけで、読者は長らく隔靴掻痒の思いを味わってきた。衝撃を与えた訳は、それまでの、いや現在でも続く都市計画の方法と理念を徹底的に批判したからである。/例えば、あなたは便利で緑も多い郊外に住みたいと思うかもしれない。ゴミゴミした下町は高層アパートや高層ビルを建て、周囲を緑にすればと考えるかもしれない。これは「田園都市」論やコルビジェの「輝ける都市」の考え方。今なお公も開発業者もこの理念を掲げて街を一変させる。だからあなたはこの都市開発には反対かもしれない。/ジェイコブズはしかし、感情的に抗議したわけではない。アマチュアの彼女は理論に囚われない。武器は自分の暮らす街と新聞記事。街の人々の付き合い、街路で遊ぶ子どもを誰が見守るのか。車の制御は。人の集まる街路は、店舗は、他の街は。スラムにも安全な街があるのは。郊外は安全か。古い建物が混在した街はなぜ生き生きしているのか。使われない公園の立地は。大規模に開発された街はなぜ一気に廃れるのか、など克明に報告する。/彼女は街路を重視し、都市の複雑さと背後の秩序を見つめる。従来の開発はこの秩序を壊したと。と同時に本書は実践への手引書だ。現場無視の計画、法律の不備、資本の流れを考察し、提案し、市民活動への力となり、一部は常識になった。/翻訳は明快で文章も易しいが、かなり読み難い。この矛盾は分析と戦略があまりに具体的で、かえって当時のアメリカの都市をイメージし難いためだ。今後は批判を含め、本書の新解釈がなされるだろう。それほど古典としての重みをもつが、何より街の現場から問いと答えを発見する方法は受け継ぐべきだ。訳者の解説は時代背景と彼女の他の著作にも触れ、必読。(松山巌「本を読む。松山巌書評集」(西田書店・4600円+税)からの抜粋)

 

   

 

トーマス・フリードマン、マイケル・マンデルバウム「かつての超大国アメリカ」 どこで間違えたのかどうすれば復活できるのか 日本も陥った先進国共通の罠! 教育の質の低下、仕事の消滅、膨らむ政府の借金
 「アメリカ」を「日本」に置き換えてもおかしくないくらい、ここに描かれている国や社会の現状は、わが国のそれと似通っている… フリードマンとマンデルバウムは、現在のアメリカを憂えてこの本を書いたが、私たち日本人が21世紀を生き延び、なおかつ繁栄していくためにも、本書は必読の手引きであると断言できる。-「訳者あとがき」より
 本書は日本を含むすべての先進国が抱える社会の病巣の物語である 中流の消滅、政治家の劣化、借金漬けの財政、危機感のない国民、競争する意識の欠如…ゆるやかに衰退する超大国の現実を解説! 世界的大ベストセラー『フラット化する世界』のトーマス・フリードマン最新作!ピュリツァー賞を3度受賞した著名ジャーナリストが、国際関係論の泰斗マイケル・マンデルバウムと共に世界の未来を描く!

 

   

 

ポルトガル、フランスで描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/