(再録)中島岳志「パール判事(東京裁判批判と絶対平和主義)」(白水社・1800円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2022.1.10既出)

午後3時で気温は12度、風もなく晴天とウォーキングには絶好のコンディションであるが、いま読んでいる「安岡章太郎集」第6巻に収録の「花祭」が面白くて終わりまで読んでいる内に、出かける気をなくす。年明けから一日も出歩いていないほぼ冬眠状態であるが、まあ春が来るまでこのままでもいいような気がしている。とにかく何も用事が無い(地域の活動は、ある出来事ですべてが馬鹿らしくなって一昨年秋に抛擲した)のと来客も途絶えて(わりとしょっちゅう顔を出してくれる二人を除いて)久し振りに(十数年ぶりに)読書に集中出来ている。そういう環境では、個人全集をその作者の処女作に遡って、当然のことに(作者の殆どは亡くなっているので)最後まで辿れるのは、思っていた以上に刺激的であり楽しいことである。今年は、書斎の個人全集専用棚(新築にあたり大工に作らせた)から順番に読んでいこうかなと考えている。とりあえず次に、「阿部 昭 集」全14巻(岩波書店)に取りかかりそれを3月には終え、その後は、「遠藤周作全集」全15巻(新潮社)または「武田泰淳全集」全17巻(筑摩書房)あたりを考えている。

 

本箱から取り出したものから、中島岳志「パール判事(東京裁判批判と絶対平和主義)」(白水社・1800円+税)と中島岳志+西部 邁「パール判決を問い直す(「日本無罪論」の深層)」(講談社現代新書・700円+税)の2冊のことを。大東亜戦争後のアメリカが主導する連合軍による極東国際軍事裁判(東京裁判)で、インド人であるパール判事が、「連合国による「勝者の裁き」を「報復のための興業にすぎない」と断じ、被告人全員の無罪を説いた」話はよく知られているが、それがどのようなことであったのかを改めて論じた、これら二冊の本はもっと読まれてよいと思う。まったくつまらない為政者による、これ以上の「右傾化」を進めてはならないし、それは子孫に大きな禍根を残すことになる、と思う。

 

中島岳志「パール判事(東京裁判批判と絶対平和主義)」 「過ちは犯された」…そしてくり返されるのか みなさんは、次の事実を隠すことはできない。それはかつてみなさんが、戦争という手段を取ったという事実である。-日本にてラーダービノード・パール(1952) 曲解されつづけてきたパールの思想と行動を解き明かす。

 極東国際軍事裁判。

 インド人裁判官パールは、連合国による「勝者の裁き」を「報復のための興業にすぎない」と断じ、被告人全員の無罪を説いた。/膨大な「判決書」を書き上げるなかで、戦時日本軍の残虐さを非難し、アメリカによる原爆投下を糾弾。戦後は「世界連邦」の樹立と再軍備反対・平和憲法の死守を主張し続けた。/アジアの自主と平和への訴求、法(ダルマ)と真理(リタ)にささげられた、妥協なき生涯。

 

   

 

中島岳志+西部 邁「パール判決を問い直す(「日本無罪論」の深層)」 保守もリベラルも注目するパール論争への回答!!

 パール判決書は「日本無罪論」ではない

 パールは1952年以降に再来日を果した際、日本の再軍備に対する厳しい批判を行い、非武装主義・ガンディー主義・絶対平和主義の重要性を各地で説いた。また、自らの判決書で示した世界連邦成立の理想を再び強調し、ヒューマニズムに基づく人間の進歩への信頼を表明した。拙著では、このようなパールの主張を明示した上で、彼の判決書を「日本無罪論」と見なす論者を批判し、さらに彼の主張を「大東亜戦争=アジア解放の正義の戦争」とする「大東亜戦争肯定論」の文脈で使用することの問題を指摘した。-本文より

 自称保守派の法哲学の乱れを正す(中島岳志)

 パール判事は進歩主義者であった(西部 邁)

(目次)   序 章 パール問題とは何か?

     第一章   パールの生涯と東京裁判

               第二章 パールの思想-『平和の宣言』を読む

     第三章 『パール判決書』の問題

     第四章 法と道徳

 

   

 

 

写真は、貝塚港で撮影する。