(再録)海老坂 武「かくも激しき希望の歳月 1966~1972」(岩波書店・2200円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.12.21既出)

昨夜、滅多にないことであるが布団に入ってから2時間ほども寝入ることが出来なくて、昼食後もリクライニング・シートでの読書の途中で居眠りを繰り返している。読み始めた「安岡章太郎集 1」(岩波書店・3800円)には最初期の短篇が収録されているが、「ガラスの靴」「ハウス・ガード」「悪い仲間」など、瑞々しくてとてもよい。ほとんどが再読であるが安岡を一番よく読んだのは、1974年から75年に掛けてのことであり殆ど覚えていない。ただ、今読んでも面白い。最近の若い人の小説など比べものにならないくらいに上手い。全部で10冊からなる「安岡章太郎集」、他の本との併読になるが3カ月ほどで読了出来そうである。

 

今日アマゾンから届いたのは、海老坂 武「かくも激しき希望の歳月 1966~1972」(岩波書店・2200円+税)とムック「& BOOKS 素敵な人になるための読書案内。」(マガジンハウス・1500円+税)の2冊である。海老坂 武「かくも激しき希望の歳月 1966~1972」は、「<戦後>が若かった頃」(岩波書店・3800円+税)、「祖国より一人の友を」(岩波書店・3000円+税)とともに三部作をなす1冊である。70年安保前後の政治的思想的に大変熱かった時代を振り返っている。わたしよりちょうど1廻り上の海老坂の当時は既にフランス留学を終え学究への道を辿りつつあった最中での学園闘争であり、「造反教官」としての日々が生々しく甦る。もう1冊の、ムック「& BOOKS 素敵な人になるための読書案内。」は、昨日紹介の、雑誌「BRUTUS 百読本」と同様に「本」の特集である。本書は女性向けの構成になっているが、そこでも新たに興味を持ったものがありアマゾンに注文を出した。さまざまな雑誌を購入しその中の何冊かは定期購読となっているが、「本」を特集したものは欠かさず購入している。本の購入のほとんどをアマゾンに依存(一部、こちらもネット上の「日本の古本屋」を利用することを除けば)していて、本の注文は読書を重ねる中で必然的に現出するものの他は、このように雑誌などに紹介されるものが参考になるケースが多い。大型書店に通わなくなって10年以上になる、その結果「本」特集の雑誌の購入が増えている。それとマガジンハウスの雑誌に(ムックも)共通することであるが、エディトリアル・デザインが素敵で本書などでもそのことだけでも充分楽しめる。

 

海老坂 武「かくも激しき希望の歳月 1966~1972」 ラディカルな志 その時代の様を「燎原の火のごとく」と評す者あり。本書は、この時代を熱く生きた者のみに可能な時代の証言。

 フランス留学から帰った著者の<パリ呆け>の頬を張るように、1960年代の政治の季節の幕が切って落とされる。大きく揺れ動く世界の風を背中に感じ、「ラディカルな志」を懐に、米兵の脱走支援、ベ平連活動、学園闘争等に著者はさまざまのスタンスで係わり踏み込み、はたと気がつけばまぎれもない「造反教官」。連帯、孤立、激しい論争、そしてこの時代の息吹をいっぱいにはらんだ内外の映画、文学、演劇など、その活況を周到に、また自在に論じる筆はまさしく練達の批評家のそれである。本書は、こうした歳月をかくも熱く生きた者のみに可能な真摯な時代の証言である。

 新しい読者へ

 Ⅰ 自閉も季節

 Ⅱ 若く新しい言葉

 Ⅲ ラディカルな志のスタイル

 Ⅳ 連帯と孤立

 Ⅴ 1970年代初頭

 さくらんぼうの実る頃-あとがきにかえて-

 

   

 

ムック「& BOOKS 素敵な人になるための読書案内。」 あの人の、生き方を知る本、旅の記録、心がふるえるエッセイ。時間、お金、服、家、食…を考える本。スタイルを持つための言葉。再読したい、小説、絵本、漫画。全326冊の読書ガイド。

 

   

 

写真は、東山丘陵内の運動公園の周回路で撮影する。