(再録)レイモンド・カーヴァー「必要になったら電話をかけて」(中央公論新社・1430円) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.11.16既出)

今日も昼食をはさみ2時間ほど庭に出て、オリーブの天辺あたりの枝を髙枝用チェンソーで払う。昨日今日でゴミ袋2個分の枝を刈ることになった。庭に出て外気に触れていると大変気持ちがいい。父も庭で焚き火をするのが好きで毎日のようにやっていた(それが晩年、近所の喫茶店通いに置き換わったところがあるが)。当地に引越しして来てから、オリーブや枇杷、林檎、無花果、柿などの生り物の木を植え、その世話をすることに喜びを感じるようになった。父の焚き火と共通しているのは、ひととき何も考えないでいることの快さにあるように思う。と言って、普段たえずものを考えているわけではないが、意外と何も考えないでいることが少ないと思う。引越ししてきた当初、隣の土地(70坪ほど)が売れていなくて、それを買っておけばもう少し庭仕事を楽しめたのにと、今頃になって考えることもある。

 

本の話である。村上春樹による、レイモンド・カーヴァーの翻訳をしたもので未読のものが本箱にあって取り出してくる。「必要になったら電話をかけて」(中央公論新社・1430円)、「レイモンド・カーヴァー傑作選」(中央公論新社・1450円)の2冊であるが、それぞれ購入したのが2000年、1994年である。同時期(1997年)に全7冊からなる「全作品集」(中央公論)も入手しているので、レイモンド・カーヴァーに対する興味はその頃に始まったと言える。「全作品集」の中で3冊は未読であるが、この機に読んでしまおうと考えている。そのように思わせるほどに、いま読んでいる、キャロル・スクレナカ「レイモンド・カーヴァー 作家としての人生」(中央公論新社・3850円)が面白い。

 

レイモンド・カーヴァー「必要になったら電話をかけて」 レイモンド・カヴァー未発表短編集(村上春樹訳)

早すぎる死から十余年、静かに眠り続けていた幻の原稿 ふたたび聞こえてきた、あの、レイの声…

 これらの作品はいつものカヴァーの物語である。訳していて「ああ、なつかしいなあ」と思った。以前暮らしていた部屋に久しぶりに入ったような気持ちになった。そこにはカヴァーの小説世界でなくては味わえない独特の深い滋養がある。匂いがあり、温もりがあり、肌触りがあり、息づかいがある。世界を見つめる一対のたしかな目があり、それを文章に移し換えていく熟練した技量がある。そこには紛れもないレイモンド・カーヴァーの宇宙が形成されている。―(「訳者あとがき」より)

 

   

 

「レイモンド・カーヴァー傑作選」 村上春樹が心をこめて贈る12の「パーソナル・ベスト」 レイモンド・カーヴァーの全作品から、偏愛する短編、エッセイ、詩12篇を新たに訳し直した「村上版ベスト・セレクション」。作品解説・年譜付

 これらは一般的に「マスターピース」と見做されている作品群である。しかしまたそれと同時に、これはあるいは代表作とまでは言えないかもしれないけれど、僕は個人的にすごく好きだという作品も、幾つか―そこにもぐりこませてもらった。小説10篇に詩とエッセイをひとつずつ加えて、ちょうど1ダースということになる。英語では13個のことを俗に「ベイカーズ・ダズン」というが、「カヴァーズ・ダズン」はそれに響きがちょっと似ていなくもない。だからというわけでもないのだが、巻末にちゃんと13個目のおまけの詩もつけておいた。(「訳者あとがき」より)

 

   

 

写真は、貝塚市二色浜で撮影する。