元永知宏「補欠の力(広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?)」(ぴあ・1389円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

母校大学野球部のスプリング・キャンプも高松でのA班、B班がそれぞれ6日の日程を終え、現在は安芸でのC班(主力チーム)が15日間の日程のようやく半分を消化したところである。オープン戦も始まっていて、C班はキャンプ地である安芸で、すでに帰阪のA班+B班は近畿地区で、社会人や大学(同一リーグを除く)を相手に戦っている。C班はキャンプ終了後に東京遠征も予定されていて、国士舘大学、法政大学、明治大学とのゲームが組まれている。その前に、自校グラウンドへ慶応を迎えてのゲームもある。リーグ戦の、あるいはその先の大学選手権を見据えて今年のチームの力を見極める意味でも、東京6大学などの他リーグとのオープン戦も重要になってくる。今年のチームは、学生ながら侍ジャパンに選ばれたエース金丸くん(4年、神港橘)を中心に、投手では荒谷くん(3年、佐賀北)、打線では富山くん(4年、大阪偕成)、下井田くん(3年、報徳学園)、山田くん(3年、関大北陽)、それにキャプテン・藤原くん(4年、佐久長聖)、佐藤くん(4年、愛工大名電)などが中心になってくると思うが、リーグ優勝(秋春連覇)は当然として、51年ぶりの大学選手権優勝の可能性もあると考えている。そういう意味でもオープン戦をどのように戦い、チームを作ってゆくのかこれからが注目である。

 

本の話である。今日アマゾンから届いたのは、元永知宏「補欠の力(広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?)」(ぴあ・1389円+税)である。広陵高校(広島)に取材したものである。田尻賢誉「広陵・中井哲之のセオリー」(ベースボール・マガジン社・1650円)とともに紹介する。広陵高校中井監督は、甲子園での春夏大会の試合終了後の勝利監督インタビューを楽しみにしている一人であるが、いつも抜群に感じがよくて(それは試合中の立ち居にも言えるが)ほとんどファン目線で眺めているところがある。それを大きく裏付けている普段の学校での様子であったり、勝利に対する考え方であったりする。わたしに野球の出来る子供がいたとしたら、間違いなく中井監督の広陵に預けると思う。広陵について感心することに、母校大学野球部の広陵OBのいままで見てきた誰もが礼儀正しく(特に、昨年の副主将・岑くんなどは中でも秀逸)眼差しが美しいのも特徴で、先年卒業した名前は失念しているが、投手として入って来て4年間一度もベンチ入りできなかった彼の誠実な振る舞い(裏方としての)なども記憶に残っている。卒業後は野球に関係のない大手製薬会社に勤めたようだが、間違いなくサラリーマンとしても活躍していることと思う。近年、広陵から毎年のように入部するようになって、現役にも3人(各学年に、新入部員は不明のため含めず)在部している。そして野球部HPの選手紹介のところの、尊敬する人に全員が中井哲之監督をあげている。大したものである。

 

元永知宏「補欠の力(広陵OBはなぜ卒業後に成長するのか?)」 一番しんどいのは控えの選手が本気で3年間やり通すこと 地方大会でベンチ入りできるのは20人、甲子園は18人だけだ。8割以上の選手がベンチの外から試合を見ることしかできない。ならば、補欠はチームの勝利に関わることができないのか?

 広陵には、選手なら誰もが恐れる中井哲之という監督がいる。部員は全員が寮生活、正月休み以外はほとんど練習漬けの日々を送る。彼らの活動範囲は、教室と寮とグラウンドだけ。携帯電話を持つことはなく、自由にテレビを見ることもできない。厳しさという面において、日本でもトップクラスだろう。本書では、選手、監督、プロ野球で活躍するOBたちにこんな疑問をぶつけてみた。/野球に必要な厳しさとは何か?広陵が強いのはなぜなのか?どうして卒業後に成長するのか?広陵OBはなぜプロ野球で成功するのか?/19歳の中村奨成から56歳の中井監督まで答えはさまざまだったが、強いチームをつくるための秘密はそこにはあった。

 甲子園がゴールになってほしくない

 二岡智宏、野村祐輔、小林誠司、中村奨成、彼らは広陵高校でどんな生活を送り、3年間で何を手にしたのか?OB、監督、卒業生の親の証言から広陵高校野球部の「育成力」に迫る!

 

   

 

「広陵・中井哲之のセオリー」 一人一役全員主役で正しく勝つ法則80 大家族の父のように本気で怒り、本気でほめる。広陵高監督・中井哲之の、控え選手も一体になって戦うチームづくり。

 150名に及ぶ部員を束ね、控え選手も一体になって戦うチームをつくり上げる名将・中井哲之。自ら考えて行動できる個を育てる、その法則をスポーツジャーナリストの田尻賢誉が80のセオリーとして伝える。ダメなものはダメと怒り、ほめるのは結果よりも過程。情にあふれる声がけでまわりを笑顔にし、選手の頑張りには声をあげて泣いてしまう。多くのプロ野球選手を輩出する源には、必要とされ愛される人間を育む情熱がある。

(中井哲之のセオリー)

 ・控え選手を大事にする。

 ・新しい道具を買うときは許可が必要

 ・外出は最寄り駅から2駅まで

 ・怒られたら、「ありがとうございます」と返す

 ・『45秒』で心を鍛える

 ・4対3で勝つ野球を目指す

 ・自主練習を重視する

 ・相手のビデオは見ない

 ・伝令に行ったら笑わせる

 ・ノーサイン野球を目指す

 ・選手とともに涙を流す

 ・白か黒しかない「ガキ大将」でいる

 

   

 

「イタリア」&「フランス」で描いた水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/