(再録)小熊英二「真剣に話しましょう(小熊英二対談集)」(新曜社・2400円+税) | 野球少年のひとりごと

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(再録・2021.10.30既出)

午後から、地域の仕事で数年間にわたり助けて貰ったSさんが久し振りにやって来る。書斎に通って貰い2時間ほど話する。本人はガス設備会社を経営し若い人を10人くらい雇っているが今日は仕事のことではなく、高校2年生になる部活でアーチェリーをやっている息子さんの話からはじまる。もともとアーチェリーの強豪校である岸和田産業高校(監督も元オリンピック選手で)に進んだのだが、そこで大きく才能が開花することになっていま全国のベスト8に入り、4になればジュニアーの強化選手になれるそうである。既に、アーチェリーの全国屈指の強豪校である近大と、関西ではそれに次ぐ関大からスカウトに来ているようである。アーチェリーで世界を目指すなら近大だろうし、就職など先のことを考えると関大、親としても迷うところらしい。それにしても親子ほど(ちょうど2回り)に歳の違うSさんが、親友扱いしてときどき訪ねてくれるのは大変嬉しいことである。先日も来てくれたFさん(Sさんの弟分と自任している)といい、いつも野菜を届けてくれるTさんといい、当地で得た友人達の存在は大きいと思う。

 

本の話である。昨日に引き続き小熊英二のもので、「真剣に話しましょう(小熊英二対談集)」(新曜社・2400円+税)と「インド日記(牛とコンピュータの国から)」(新曜社・2700円+税)の2冊のことを。「真剣に話しましょう(小熊英二対談集)」は、現在さまざまな世界で活躍する論客たちとの対談集である。小熊英二の著作のほぼすべてが大部のものであるのと違い、本書は対談集であることもあり割と入って行きやすいと考える。これを機に、小熊英二の代表的な著作まで踏み込んで貰えたらと思う。もう1冊の、「インド日記(牛とコンピュータの国から)」は、コンピュータ先進国でもあるインドの現状を伝えてくれる貴重なものである。インドについて書かれた、堀田善衛や藤原新也などと比べてみる(それぞれ時代は違うが)のも面白いかも知れない。

 

「真剣に話しましょう(小熊英二対談集)」 社会を動かす回路をひらく “真剣”な対話のなかに新たな社会の芽が兆す。安定経済成長の崩壊、震災と原発事故が従来の思考枠組み失効をつげた現在、ジェンダー、若者論、社会運動、憲法などの各領域で、ユニークな思想を紡ぎ、活動を続ける論客たちとの妥協なき9つの対談を収録。

(目次より)

 震災後の日本社会と若者 古市憲寿

 サヨクはなぜ経済成長の夢を見るのか? 髙原基彰

  ―「超安定社会」の廃墟から議論の足場を再構築するために

 上野千鶴子を腑分けする 上野千鶴子

  ―「対幻想論」から『ケアの社会学』まで

 グローバル社会運動と日本 小川有美・酒井啓子・篠田 徹

  ―代議制民主主義を超える民主主義の可能性

 社会運動のつくり方 湯浅 誠

 ―世界を自分で変えるには

 今回の国政選挙まで、とにかく懲罰投票が続いている。 保坂展人

 ―有権者は現実として議員に期待していない

 どう“社会を変える”のか 東 浩紀

 ―風営法問題、官邸前抗議、ヘイトスピーチ、総選挙……今、「リベラル」は何をすべきか

 変化の手前にある現在 菅原 琢・韓 東賢

 ―2013年の時代経験

 憲法と政治参加を考える 木村草太

 ―特定秘密保護法と民主主義をめぐって

 

「インド日記(牛とコンピュータの国)」  話題作『単一民族神話の起源』『“日本人”の境界』で、近代日本を問い直してきた著者がインドを行く。グローバリゼーションにゆれる多民族国家インドの社会や宗教、芸術、NGO、フェミニズムなどと触れあいつつ、日本のあり方を考える旅。

 

 

写真は、貝塚港で撮影する。