加藤幹郎「映画とは何か」(みすず書房・3200円+税) | 野球少年のひとりごと

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今日まで孫娘たち(小学6年になる双子の)が家にいることもあり何となく正月気分が抜けない。今朝は、猫たち(メラ、ロク、グレイの生後10カ月半、わが家にやって来て7カ月の雄と15歳半になる雌猫チビ)に午前3時、8時と2度餌をやり、その後にゴミ出し(いつもは娘がやる)をし、もう一度ふとんに入ったら昼近くまで寝てしまった。毎朝、猫に餌をやるために2度起きることで疲れが溜まっているせいもあるし、年明けから日中もダラダラしていることで身体もシャキッとして来ないことによる。明日から生活ぶりを平常に戻す必要がある。ただ、本だけは読めていてここまでで、鈴木道彦「フランス文学者の誕生(マラルメへの旅)」(筑摩書房・3300円+税)、「プルーストを読むー『失われた時を求めて』の世界」(集英社新書・860円+税)の2冊を読了できた。猫たちの様子は、女房のブログ「コーラスガールのひとりごと」でご確認ください。

 

本の話である。映画関係の本から少し本格的な評論で、加藤幹郎「映画とは何か」(みすず書房・3200円+税)のことを。刊行は2001年。

 

「映画とは何か」 映画を見るとは、どういう経験なのか?当代きっての論客が、緻密な思考と新鮮な発想で描き出すヒッチコック、ラング、黒人映画ー「第11回吉田秀和賞」受賞作。

 「アメリカ映画の特徴は、その潜在的多様性にある。それはもっぱら国外からの人材流入(移民と亡命者)と国内の人種的不均衡(人種差別)によってもたらされた。…じっさいアメリカ映画史は長らく黒人映画作家や亡命ユダヤ人作家のフィルムを正しく評価することを怠ってきた。そのことはアメリカ映画の成立と展開にどのような作用をおよぼしてきただろうか。本書で主として問題となるのは、映画史の、そのようなオルタナティヴな側面である」(「序言マイナーな映画のために」)

 映画とは何か?われわれは、映画をいかに観ているのか?著者は<ハリウッド映画>の名の下に語られてきた一切の前提を再審に付す。ヒッチコックの『サイコ』やフリッツ・ラングの傑作群の、驚くほかない斬新な解説、これまで死角に置かれてきた黒人専門映画の歴史、D・W・グリフィスの初期インディアン映画の緻密な検証など、刺激的でトータルな視点から、<映画>の過去と現在を問い直すのだ。

 シャープな発想、スリリングで卓越した分析力で、映画批評/理論きっての論客として知られる著者、久々の本格的映画論集たる本書は、一読巻をおく能わざる知的昂奮がみなぎっている。

 

   

 

「フランス」で描いた色鉛筆と水彩によるスケッチから

「洋画家 仲村一男」のホームページ

 http://www.nakamura-kazuo.jp/