(再録)井出英策「経済の時代の終焉」(岩波書店・2500円+税) | 野球少年のひとりごと

野球少年のひとりごと

本のことを中心に、関西学生野球や高校野球のことをつぶやいています。
また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

(再録・2015.12.30既出)
少し暖かいので午後から庭に出て、先日コーナンで買ってきた真砂土を枇杷、柿、無花果、オリーブ、林檎、山茶花、沈丁花、灯台躑躅などの根元に入れた。年明けにも、それぞれに寒肥を与えるつもりである。昨年は寒肥を忘れてしまい、そのせいか例年に比べ柿は不作であった。枇杷とオリーブは5メートルほどに育ったが、この時期鳥たちもいよいよ餌がなくなってきたのかわが家に飛来し、花や実を啄んでいる。玄関のオリーブなどには数十羽の雀が毎日来ていて、枝葉を揺らしながら食べているさまは眺めていて楽しいところがある。
 
本の話である。今日アマゾンから届いたのが、井出英策「経済の時代の終焉」(岩波書店・2500円+税)、絲山秋子「薄情」(新潮社・1500円+税)、川本三郎「ひとり居の記」(平凡社・1600円+税)の3冊である。アマゾンからの荷物は、明日に届く1冊で一応今年は終了であるが、今月などここまでで22冊を購入していている。来年はもう少しセーブしてと考えているがどうなることやら。井出英策「経済の時代の終焉」は、本年度大佛次郎論壇賞受賞作で、(帯によると)「アメリカへの従属、中間層の剥落、福祉国家の動揺、地方財政の破綻など、グローバリズムが日本社会を飲み込んでいく様相を、国際比較をまじえて立体的に描出。私たちが再び経済を飼いならす方途を探求する批判的考察の書。」とある。先日、朝日新聞に大佛次郎論壇賞の受賞理由などとともに本書が紹介されていて読む気になったものであるが、大変刺激的な読書になりそうである。次の、絲山秋子「薄情」は、彼女の新刊であるが(帯によると)「あなたの未知なる感情を呼び起こす傑作長編!」とある。ほぼ絲山の作品は読んでいるがそれぞれに問題作が多く、女流(こういう呼び方は死語になりつつあると思うが)では川上弘美と中野翠(コラムニスト)同様に、いまも新刊を追い続けている数少ないひとりである。本書もまことに楽しみである、年明け早々にも読もうと考えている。最後の、川本三郎「ひとり居の記」は2013-2015年の日記らしいが、彼の著作も間違いなくすべてを購ってきたが本箱に未読のものが10数冊溜まってきている。どこかで集中的に読もうと考えていて果たせないでいる。それと、最愛の奥さんを亡くしてからのエッセイは痛切に過ぎるところがあるが、本書辺りから久しぶりに取り掛かろうかと思っている。
 
井出英策「経済の時代の終焉」  第15回(2015年)大佛次郎論壇賞受賞 経済を<飼いならす>方途をさぐる気鋭の論客、渾身の一冊!
 私たちは、人間の多様性や生存の基礎が経済的な価値尺度に掘り崩されていく時代にいる。理不尽なさに対する無力感、閉塞感が、先進国の社会全体を覆い尽くそうとしている。アメリカへの従属、中間層の剥落、福祉国家の動揺、地方財政の破綻など、グローバリズムが日本社会を飲み込んでいく様相を、国際比較をまじえて立体的に描出。私たちが再び経済を飼いならす方途を探求する批判的考察の書。
 問題の本質は、所得格差の広がりだけにあるのではない。そうした格差を生み出すような判断、公的領域の縮小という判断を、私たちがいとも簡単に受け入れたという事実こそが問題なのである。本書が問いたいのは、こうした私たちの判断の基礎にある価値観が、どのような歴史の流れのなかで形成されたのかということである。…経済の論理が不可逆的に私たちの生活のなかに浸透するなかで、押し寄せる津浪への防波堤であるはずの公的領域が、なぜかくもあっさりと決壊してしまったのか。(「序章」より)
 
絲山秋子「薄情」  境界とはなにか、よそ者とは誰か-何事にも熱くなれない男は自らの内面と向き合った末、ひとつの答えに辿り着く。
 人間関係はかけ算だなあ ただ、神様への祈りだけは足し算だったらしい(本文より)
地方都市に暮らす宇田川静生は、他者への深入りを避け日々をやり過ごしてきた。だが、高校時代の後輩女子・蜂須賀との再会や、東京から移住した木工職人・鹿谷さんらとの交流を通し、かれは次第に考えを改めていく。そしてある日、決定的な事件が起き-。季節の移り変わりとともに揺れ動く内面。社会の本質に迫る、滋味豊かな長編小説。
 
川本三郎「ひとり居の記」  悲しみ、淋しさと共にありたい-。 利根川を見たくて電車に乗りに出かけた冬の日のこと、ぬいぐるみの猫を抱いて眠る夜のこと、亡くなった安西水丸さんのこと、23年ぶりに行った台湾の旅のこと…。妻を亡くして、ひとり迎えた老年の日々を綴る。
 一人になった頃、親しくしている四歳年上のドイツ文学者、池内紀さんからこんな手紙をもらった。/元気でいるためには、三つのことが大事です。まず、医者と仲良くすること(億劫がらずに定期的に医者に診てもらう)。適度な運動をすること。そして、三つめが面白かったのだが、四十代の女性と親しくすること。/以来、池内さんの言に従っている。(本書「まえがき」より)
 
 
「洋画家 仲村一男」のホームページ
 
http://www.nakamura-kazuo.jp