吉川浩満「人間の解剖はサルの解剖のための鍵である」(河出書房新社・2200円+税) | 野球少年のひとりごと

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午後から女房は所属する女声合唱団の定期練習で、岸和田のマドカホールまでコーラス仲間の車に乗せてもらい出かける。わたしは用意してくれてあるベーコンエッグ・トーストで昼食を手早く済ませ、今朝から読みかけているボブ・グリーン「父からもうすぐ逝ってしまう君へ(心揺さぶる37話)」(きこ書房・1400円+税)と、もう一冊、昨日で読了の池澤夏樹「科学する心」(集英社インターナショナル・1800円+税)でも紹介されていた、吉川浩満「人間の解剖はサルの解剖のための鍵である」(河出書房新社・2200円+税)と並行して読むつもりである。というのも、「文筆業。1972年3月、鳥取県米子市生まれ。慶應義塾大学総合政策学部卒業。国書刊行会、ヤフーを経て、フリーランス。関心領域は哲学/科学/芸術、犬/猫/鳥、デジタルガジェット、映画、ロックなど。哲学愛好家。Tシャツ愛好家。ハーレーダビッドソン愛好家。卓球愛好家。」などという独特のプロフィールを持つ著者の、出世作である「理不尽な進化(遺伝子と運の間)」(朝日出版社・2200円+税)にも言えるが、浩瀚な知識をもとにする論述は一筋縄ではいかないところがあって、他の本(ボブ・グリーンのコラムなどと)との並行作業になるわけだ。小説やエッセイなどの一般的な読書と併せて、例えば本書のように脳を揺さぶってくれるような読書を続けながら(尤も、その多くは半知判解で終わることが多いが)、まあボケ防止に努めているわけだ。ただ、よくしたもので「継続は力」というか、「量が質を凌駕する」というような現象も偶には起こっていて、若いころに難解を極めた吉本隆明の文章もすっと頭に入ってくるようになっている。勿論、吉本の文章・文体も年とともに平易になったこともあるが。いずれにしろ読了後にあらためて

 

吉川浩満「人間の解剖はサルの解剖のための鍵である」 東浩紀氏、大澤真幸氏、國分功一郎氏 絶賛!!

東浩紀氏 ひとの定義が変わりつつあるいま、よきひととして生きることはいかに可能なのか。その指針を与えてくれる、当代屈指の読書家による細密で浩瀚なキーコンセプトガイド、必読!

大澤真幸氏 行動経済学が人間には不合理なところがあると実験によって示し、進化の血縁淘汰説がそこにも合理性があるのだと主張し、倫理的判断をめぐって脳科学が脳には複数のチャンネルがあるらしいことを発見し…といろいろなことを知ったおかげで、私たちは自分のことをよく理解できるようになった…だろうか?否、である。膨大な情報の断片の中でも、結局人間とは何なのか、ますますわからなくなった。私たちは、細い路地に迷い込んでしまったようだ。だから本書を読もう。本書は、今日の認知科学の全体が、人間につて何をどこまで明らかにし、どこからが未知なのかを示す、まことに正確で信頼にたる地図である。

國分功一郎氏 哲学だけでも科学だけでもたどり着けない、人間の未来/未来の人間。読者はここに、新しい「人間本姓論」の到来を予感する。

 

吉川浩満「理不尽な進化(遺伝子と運の間)」 乗り超え不可能なダーヴィニズムと私たち 「絶滅」から生命の歴史を眺める!文系も必読、歴史と人間を問い直す知的エンターテインメント!
 これは、進化論を理解しょうとする本であるとともに、私たち自身をよりよく理解しょうとする試みでもある。(まえがき)
 進化論が私たちに呼び覚ます「魅惑と混乱」の源泉を、科学と人文知の接点で掘り当てる、近

代思想の冒険的考古学!
・進化論の面白さはどこにあるか、なぜそれが専門家の間でも極端な論争を呼ぶのか、本書は

そこをみごとに説明する。[…]近年ここまでよくできた思想史を読んだ覚えがない。(養老孟司)
・おー。進化論におけるグールドの敗北を明記した上で、その敗北を救うだけでなく、それをぼく

たちみんなが抱える問題の鏡として使い、進化論やあらゆる学問の基盤にまで迫ろうとする力

業。(山形浩生)
・一見難解な文系と理系の間の境界領域をやすやす遊弋(ゆうよく)し、エンタメまじりに楽しむ

知的な書き手が現れたこと。[…]広義の「進化」イデオロギーから自由な、成熟した感性がここ

にあること。(加藤典洋)
・博学多才で、文章は機知に富んでよく笑わせる。肝心なのは彼がことの本質をぐいと掴んで

綺麗に並べてみせること。(池澤夏樹)
・哲学的、随想的逸脱も恐れず、この理不尽さに向き合った結果、さわやかな無常観が浮かび

上がってくるのが面白かった。(島田雅彦)
・この本は昨年の私的ベスト5に入る良書です。科学書ではなく、「進化論」という老樹を権に冠

(かぶ)り、思索に遊ぶ粋な哲学書です。(池谷裕二)
・資料を博捜して、論争のもつれを解き、一般人に伝えるにはいい位置にいるし、真摯な態度に

は好感が持てる。[…]久しぶりに知的刺激を受けた好著である。(金子務)


 「今年の3点」に選出 池澤夏樹(毎日新聞) 柄谷行人(朝日新聞) 長野敬(東京新聞)

 

 

「菖蒲」
油彩652×910センチ(1944)
「洋画家 仲村一男」のホームページ
 http://www.nakamura-kazuo.jp