(再録)安岡章太郎「観自在」(世界文化社・2000円+税)、「風のすがた」(2000円+税) | 野球少年のひとりごと

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また、父・洋画家「仲村一男」の作品を毎日紹介しています。

(再録・2013.8.10既出)

地区(9つの町、自治会がある)の福祉委員会の広報紙の編集担当となって、4面からなる広報紙の編集をしている。今日は、その初校をもとに校正を会長、副会長など5人で行う。校正そのものは修正もほとんどなく30分ほどで終わるが、その後に福祉活動全般にわたり話が展開する。ニュータウンであるわたしたちの自治会を除いてはそれぞれに歴史のある町会で、いわゆる旧村独特の人や事柄に話題がおよび聞いていて楽しい。岸和田の旧市街で生まれ育ったわたしであるが、微妙に色々のことが違っていて面白い。

 

帰宅後、実はこれからであるが自転車のパンク修理に挑戦しょうと考えている。昨晩は、マウンテンバイクにバックミラーを取り付けた。これから作業するのは、クロスバイクのほうで、タイヤもフランス式バルブとかであるがタイヤ幅のとても狭いタイプである。マウンテンバイク、クロスバイクともブリヂストンサイクルのもので、わが家の自転車は隣に住む次男一家の幼児用、子ども用からはじまって女房や次男の嫁の電動自転車にいたるまですべてブリヂストン製である。それというのも、旧居時代に岸和田ではいちばん大きい自転車屋さん(ブリヂストンの代理店でもある)が向かいにあって、当代とは子供時代からの付き合いで引っ越ししてから後も、自転車の購入はその店を外すわけにはゆかない。来月に迫る岸和田祭においても、一緒にだんじりについて走っているような間柄であるし。ところでパンク修理である。極めつけの不器用であるわたしのこと、さて思うように行くかどうか。よくしたもので、先ほどのバックミラーもパンク修理キットもアマゾンで販売されている。そして、ユーチューブでパンク修理の実演を映したものが何種類もあって、それを繰り返し見てからの実行となる。大変レベルの低い話であるが、昔オーディオシステムのコードを間違いなく繋ぎ満足した頃からはじまって、近年はパソコンをネットも含めて自分で繋げるくらいには進歩しているのだけれど。絵描きの子どもでありながら、小・中学時代を通じて図画・美術の評価は5段階の2で、いつも工作が足を引っ張っていた。額縁を作らせるときちんと矩形が取れないし、工作箱は蝶番をつけたもののきちんと閉まらない始末で、自分でもあきらめていたところがある。サラリーマンになって、その生涯の半分は企画・宣伝畑、あとの半分が営業でそれもマネージメントが主であるから、不器用なところがばれることもなく何とかやり過ごせたのは幸運であった。

 

 本の話である。帰宅するとアマゾンから、安岡章太郎「観自在」(世界文化社・2000円+税)、「風のすがた」(2000円+税)が届いている。このところ安岡章太郎のエッセイを立て続けで読んでいるが、この2冊もそれぞれのテーマに副ったエッセイ集である。「観自在」は、「雁行集」(世界文化社・2000円+税)に継ぐもので、全集・単行本に未収録のエッセイを集成したものである。「風のすがた」は、忘れがたい感動体験としなやかな眼差しからの価値観を集成した29篇のエッセイからなる。いずれにしろ読了後にあらためて

 

「観自在」 ものの見方・考え方を説く名随想49篇。 とらわれない“眼”と“感動”がなければ、ものは見えない。見ないにひとしい。 全集・単行本にも未収録エッセイ集成PARTⅡ

 ✲言葉やカタチなど、意味あるもので理解せず、迫力だけで陶酔させられているというのは、じつは人間として  は危なっかしい状態におかれていることではなかろうか?(「音響と色彩について」)

  ✲人をたのしませるものが芸術であるといっても、単にそれだけでは芸術にはならない。或る豊かなもの、凡庸    ならざるもの、突き抜けたもの、何かそういうものがなければ本当に人の心をつかむことは出来ない。(「岩

     佐又兵衛」)

  ✲私は、根底に違った理由が隠されていると思うのです。つまり、武市半平太と吉田東洋は藩主の山内容堂を   間にはさんで勢力争いをしていた、と見ているのです。(「明治維新と私」)

  ✲なるだけ安上がりで、人の眼につきやすく、カンタンに機械的につくれるものなら、それでいいというわけであ   ろう。(「田村義也の装幀について」)

 

「風のすがた」 いま、信じるに足る“負”からの考え方。 人生には風の見える一瞬が、ある。闇に消える象の隊列。柱にもたれ、茫然と庭を見やる母。蕪村の『夜色桜台図』。志賀直哉の遺言。-いずれも、とりとめもない記憶の断片にすぎない。が、何か忘れ難い。見えないはずの風が見えた瞬間で、生命の充実を覚えた。 変哲もない暮らしの、ささいな出来事の中にこそ見出された感動体験と、しなやかな眼差しからの価値観を集成。29篇。

 ✲著者の基本姿勢

   一体、文学者の仕事とはどんなものだろう。/「真の詩人とは時代の変動を予知して、世の警鐘を鳴らす人   だ」という意味のことを何かで読んだ記憶がある。もしそうだとすると私には、詩人ないしは文学者の資格は   ゼロになりそうだ。仮に私に「時代の変動を予知」する能力があったとしたところで、警鐘を鳴らすどころか、   火の見やぐらに上っただけで眼がクラクラして落ちそうになり、何よりもそのことに気をとられそうである。臆   病であり、腰ぬけなのである。/しかし、じつのところ、そういう半鐘や火の見やぐらに恐怖心を持っていると   いうこと自体を私は、心のすみのどこかでタノミにしているのかもしれない。(本文より)

 

 

 

「洋画家 仲村一男」のホームページ
 
http://www.nakamura-kazuo.jp