(再録)桜木紫乃「LOVELESS ラブレス」(新潮社・1600円+税)、「氷平線」(文春文庫・ | 野球少年のひとりごと

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(再録・2013.8.5既出)

先日、女房との散歩の途中のニュータウン内にある青少年運動広場で、大阪府の女子中学生ソフトボール大会が開催されていた。大阪市内や堺市のチームはマイクロバスや観光バスを借り切って遠征してきている。大きなグラウンドなので、4面を用いて試合が行われていた。少し気になったことがある。旧居のあった、ということは子どもたちが卒業した中学が出場していて応援していたのだけれど、試合の終盤にライトが少しミスしたようでイニングの途中で引っ込められた。そして、ベンチ代わりのテント内で椅子に座って指揮をとる監督に呼ばれ、後ろに立たされて(つまり対面せずに)かなりしつこく注意を受けていた。解放されてこちらを振り向いた顔は全く納得していない様子であった。そのうち試合は終わり、相手チームの監督と女性の教員が挨拶にこちらのベンチまで訪れたが、立ち上がったもののサングラスも外さずペットボトルを手に持ったまま中途半端といってよい挨拶を交わしていた。ホームベース付近までお互いが出向いて挨拶するのが普通だと思うが、相手の監督が若くて颯爽としていたこともあり、ここで最初の違和を感じた。その後、相手チームのキャプテンら二人の選手が監督に挨拶に訪れたときも、とてもきちんととは言えない応対ぶりで、それは試合の運営の補助をした他チームの選手が来た時も同様であった。思えば、試合中も相手の監督は選手と一緒に立ってチームを指揮していたのに、こちらは、横にスコアを付ける選手を侍らし椅子に寄りかかるように足を投げ出して指揮、残りの選手全員が試合を通じて立って応援しているのにかかわらずである。いま問題になっている体罰は論外としても、挨拶ひとつまともにできない教員が教える体育や部活に大いに疑問を感じる。それと中学生ともなれば尊敬できる教員とできない教員の区別くらいは十分につく筈で、そのことを分かっていないのは教員本人だけかも知れない。それにしても父兄も何人か応援に来ていたが、彼らがどのように感じたかも興味がある。学校や教員に対して、子どもを人質に捕えられているような感覚があるとすると困ったものである。クレイマーはよくないが、きちんとした意見は述べるべきだと考える。

 

 本の話である。今日、アマゾンから届いたのは桜木紫乃「LOVELESSラブレス」(新潮社・1600円+税)、「氷平線」(文春文庫・552円+税)の2冊である。先頃読了の、本年度直木賞受賞作・桜木紫乃「ホテルローヤル」(集英社・1400円+税)が大変面白くて、もう少し読んでみようと思っての購入である。「LOVELESSラブレス」は、第19回島清恋愛文学賞、突然愛を伝えたくなる本大賞受賞。同じく、「氷平線」に収録の「雪虫」でオール讀物新人賞を受賞している。いずれも読了後にあらためて

 

「LOVELESS ラブレス」 愛が足りないあなたに贈る「ぶれない女」の一代記 読後、胸の奥に生じる感情。それがあなたにとって本当の、愛の姿です。 他人の価値観では決して計れない、ひとりの女の壮絶で「幸福な」一生 激しく流転する物語、唯一無二の慟哭。ぶっちぎりで記憶に残る、圧倒的傑作!

 

「氷平線」 真っ白な海が凍るオホーツク沿岸の町で、静かに再開した男と女の凄烈な愛を描いた表題作、酪農の地を継ぐ者たちの悲しみと希望を牧草匂う交歓の裏に映し出した、オール讀物新人賞受賞作「雪虫」ほか、珠玉の全六編を収録。北の大地に生きる人々の哀歓を圧倒的な迫力で描き出した、著者渾身のデビュー作品集。

 

 

 

「洋画家 仲村一男」のホームページ
 
http://www.nakamura-kazuo.jp