税理士の柿白ですニコニコ

前回のブログからだいぶ日数が経過してしまい申し訳ございませんあせる有難いことに、相続税申告の依頼が今年は多く非常にバタバタしております笑い泣き

前回の続きです。

 

⑤通帳にメモを残す(大きな支出に対しては請求書や領収書、契約書等を保管する)

 過去の預金について不明出金等がある場合、相続人の方にお聞きをします。相続人の方で判明することもありますが、全くわからないケースもあります。亡くなった方しか知らないことは当然ありますので、できる限り大きな金額が動く場合は通帳へのメモや請求書、領収書を保管して頂きたいです。理由としては、適正な相続税申告書を作ることが税務調査のリスクを減らすことができるからです。

 例えば、500万円の不明出金があった場合に、使途や行方が全くわからなければどうしようもありませんが、メモ等でリフォーム工事であることが判明した場合は、財産評価に計上することができます(そもそも財産計上したくないという思いはあるかもしれませんが…滝汗)。財産評価に計上できれば、税務署として500万円の不明出金が解消されます。

 仮に、振込で行い相手先の記載があっても、使途が不明な場合もあります。大手の会社等であれば使途は推定できますが、あまり有名ではない会社や個人事業主とかの場合は、払った事実は間違いありませんが、使途(財産計上が必要なものかどうか)の判断ができませんので、メモや請求書等があればその判断が可能になります。

 また、例えば50万円の出金に対して生活費と記載があれば、生活費として使用したのだなという推測ができます。また入院や手術等で大きな金額の支払いがあった場合もメモや請求書領収書があれば不明分が解消されます。通帳のメモだけでも税務署に対して使途を主張する十分な根拠になりますびっくりマークなぜなら税務署がその主張を覆すためには、メモが間違っていることを証明しなくてはなりません(相当困難な作業です)。

 財産計上が必要なものについては、相続税申告書に記載することで不明分が解消されます。一方、生活費や例えば資産計上が不要な修繕費などの場合は、相続財産に計上されませんが、書面添付制度を利用していればそちらに記載することも可能ですし、場合によっては相続税申告書の参考資料として税理士が不明出金の使途を説明できます。

例 R5.3.3 ○○銀行 ○○支店 口座番号○○ 500万円の出金 自宅の外壁塗装の工事代金として○○工務店へ450万円を支払い 原状回復費用のため財産計上は不要 残りの50万円は生活費として使用

※さらに請求書領収書を添付できれば500万円の不明出金は完全に解消されます。

 

⑥生前に財産の棚卸を行う

 相続税申告のお手伝いをしていますと、亡くなられる前に、ご自身の財産をリスト化されている方がいらっしゃいます。不動産の情報、金融機関の情報、保険の情報など。これは残された相続人にとっては非常に有難いことです。近年、核家族化の影響もあり同居をしていない相続人は多くいらっしゃいます。同居をしていても、知らないこと、分からないことはありますが、同居をしていなければ、わからないことはより多く存在します。通帳や証書などが残っていない場合には、郵送物などで、どこと取引があったかを確認し問い合わせ等を行うしか方法がありません。郵送物が届くところは良いですが、ネット銀行やネット証券などは場合によっては、郵送物が無いこともあります。このような状況のなか、財産リストが残されている場合は、相続税申告について漏れなく申告ができますし、いわゆる名義変更などの相続手続きもスムーズに行うことができます。残される方のためにも、ぜひともメモ書きでも構いませんので、生前に財産の棚卸を行い、リスト化をされることをお勧めします。

 また、使用していない金融機関などは解約の手続きをしておくと、残された方の相続手続きが非常に楽になります。税務調査に入られにくい申告書を作成するために、僅少な金額の預金であっても残高証明書の取得をお願いしますし、名義変更の手続きが発生しますが、生前に解約をして頂けるとそのような手間を省くことができます。ただし、解約済みの通帳であっても、過去の通帳は必ずとっておいてください。また、僅少な金額であれば問題ありませんが、大きな金額を解約した場合に、その解約した預金の行方が問題になることがあります。他の金融機関に振込があれば問題ありませんが、現金で持ち帰った場合には、タンス預金が疑われますあせる

 

⑦過去に不動産の売却がある場合は注意する

 生前に不動産等の売却がある場合、税務署はその事実を把握しています。不動産の売却時に譲渡所得税の確定申告をしているはずですから、いくらで売れた、手残りがどれくらいあるかについては把握されています。例えば、3年前に1億円で土地を売却した場合、諸経費や税金を支払った後の手残りは7,000万円程度はあることが予想されます(諸経費の金額や取得価格にもよりますが、申告書を見れば売却金額の手残りはわかります)。その後、相続が発生し、預金残高があまりない場合には、そのお金はどこにいったのかが問題になります。この差額について不明な場合は、税務調査のリスクが高くなりますびっくりマーク相当の預貯金が残っている場合は問題ありませんが、売却代金からの使途が多い場合は、何に使ったか、どこへいったか、をしっかりとわかるように資料等を保管する必要があります。

例えば、仮に売却後の手残りが7,000万円あり、相続発生時の預金残高が1,000万円の場合において、通常であれば差額が非常に大きいため何もしなければ税務調査のリスクが高まりますが、書面添付制度や申告書に下記のような使途を説明した資料を添付すれば税務調査のリスクは低くなりますグッド!

 

【土地の売却代金について】

被相続人Aは令和2年に岡崎市○○町○○の土地を1億円で売却している。売却後の手残りは約7,000万円であるが、その後の使途については下記の通りである。

・生活費として毎月50万円を使用(通帳にて確認) 50万円×3年=1,800万円

・子供3人、孫3人へ毎年110万円の贈与を行った 110万円×6人×3年=約2,000万円

 当該贈与については、贈与契約書、通帳からの振込を確認した。被相続人に認知症はなく、双方合意のもとによる贈与であることを確認した。また、子供3人への贈与については3年内贈与として財産計上をしている。

・車両を購入した 1,000万円(査定価格により財産計上済み)

・自宅のリフォーム工事 1,000万円

 300万円は外壁塗装による原状回復費用のため財産計上不要 残りの700万円については、リフォーム工事として財産計上している。

上記の合計金額は5,800万円であり、売却後の手残り7,000万円-預金残高1,000万円=6,000万円とほぼ一致している。

 

 あくまでも簡易的な事例および記載ではありますが、上記のように記載説明をすれば、税務調査のリスクは低くなります。しかし、上記のように記載をするためにはしっかりと資料等を保管していなければできません。一般的に、大きなお金が入ると、使途も大きくなりますので、使途や行方が説明できるようにしましょう。

 

次回で最終稿にしたいと思っていますが、大変バタバタしており、いつ投稿できるのかガーン

なるべく早くUPしたいと思っていますびっくりマーク

 

岡崎市・西三河の税理士 税理士法人クレサス

柿白