こんにちは、税理士法人クレサスの柿白です。
まだまだ暑い日々が続きますが、体調にはくれぐれも注意したいですね
さて、本日は、東京地裁(令和元年8月27日)での採決事例をご紹介します。
相続税対策として、借入をして賃貸用不動産を取得するという節税対策は広く行われています。
否認事例の概要は以下の通りです。
相続開始前3年5か月前(90歳時)に、賃貸用不動産を約8憶3千万円で取得(甲不動産)。
また、相続開始前2年6か月前(91歳時)に、賃貸用不動産を5憶5千万円で取得(乙不動産)。
上記に対し、銀行から合計約10億円の借入を行った。
平成24年6月に相続が発生し、相続税を0として申告した。
さらに、平成25年3月に相続開始後に乙不動産を5憶1千万円で第三者に譲渡している。
これに対し、税務署は、財産評価基本通達(路線価等)による評価は著しく不適当として
鑑定評価額による評価が適正として(4倍ほど乖離している)、更正処分。
国税不服審判所の採決(平成29年5月23日採決)を経て、提訴された事案です。
そして、東京地裁は国税不服審判所と同様の判断をし、鑑定評価額を認めました(納税者敗訴)。
同様に否認をされた事例はありますが、その案件は、
相続開始「直前」に購入し、相続開始後「短期間」で売却をした事例です。
いわゆる、やり過ぎた事例です。
今回は、過去の判例と比べてそこまで直前でもなく、また、売却していない不動産まで否認されました。
また、銀行の稟議書から「相続税の節税のためにあえて借入れ及び不動産の購入を企画・実行した」旨が
記載されていたこともポイントになりました。
今回は、節税対策をしなければ6億円を超える課税価格になるほどの資産家が、
相続税を0にしたという極端な事例ではありますが、
相続税対策については、できる限り早めに、
また公平性を著しく害するような極端な節税行為は行わないことが重要です。
柿白