税理士の柿白ですニコ

ただいま、確定申告の真っ只中ですあせる

税理士にとって最も大変な時期ですが、あと一か月弱頑張りますびっくりマーク

 

現在、ドラマ「おコメの女-国税局資料調査課・雑国室-」が放送されています。職業柄、税務関連のドラマや映画はやはり気になって見てしまいます。国税局査察部(マルサ)が描かれることが多いなか、今回は国税局資料調査課(通称:料調・リョウチョウ)といったところも私どもにとってはちょっとした見どころですね。

さて、第4話にて国税OBであり脱税を指南している箱山税理士が、ある取引について合法であり問題ないとの見解を示したところ、松嶋菜々子さん演じる米山調査官が、「行為計算否認」を発動すると言ったところ、箱山税理士はすぐさま白旗をあげました。

この、「行為計算否認」とはいったい何でしょうか。

「節税は法律のルールの範囲内で行うものだから、合法。だから絶対に税務署から文句を言われる筋合いはない」

経営者や資産家の方の中には、そう固く信じている方も少なくありません。確かに「脱税」は違法行為ですが、「節税」は法律に則った正当な権利です。しかし、「形式上は合法でも、行き過ぎた節税(租税回避)」に対しては、税務署が抜くことのできる「伝家の宝刀」が存在します。

 

節税と脱税の間にある「租税回避」というグレーゾーン

税金対策は、大きく3つに分けられます。

  1. 節税:税法の趣旨に沿って、合法的に税負担を減らすこと。(例:各種控除の活用、青色申告など)

  2. 脱税:売上の除外や架空経費の計上など、事実を隠蔽・仮装して不法に税金を逃れること。明らかな犯罪です。

  3. 租税回避:法律の抜け穴を突き、形式的には合法だが、税法が想定していない異常な取引を用いて不当に税負担を減らすこと。

この3つ目の「租税回避」に対して発動されるのが、税務署の伝家の宝刀である「行為計算否認」です。

税務署の伝家の宝刀「行為計算否認」とは?

「行為計算否認」とは、簡単に言えば「形式的には合法でも、不自然な取引で不当に税金を減らしているなら、税務署の権限でその取引をなかったこと(または別の取引)として計算し直すよ」という強力なルールのことです。

  • 同族会社の行為計算否認(法人税法第132条)

  • 組織再編に係る行為計算否認(法人税法第132条の2など)

そして、相続税の実務において、事実上の行為計算否認として猛威を振るっているのが「財産評価基本通達 第6項(総則6項)」です(相続税法にも同族会社を利用した取引等に対する行為計算否認があります)。

令和4年(2022年)4月の最高裁判決タワマン節税が有名ですね(過去のブログにも書きました)。

「法律の穴を突いた完璧なスキームだ!」と喜んでいても、後からこの宝刀でバッサリと斬られ、莫大な追徴課税を支払うことになったケースは過去にいくつもあります。

 

実態のない「行き過ぎた節税」はリスク大

節税自体は悪ではありません。事業を守り、家族に資産を残すために正当な制度を活用することは重要です。

しかし、「形式さえ整えれば、どれだけ異常な取引でも税務署は手を出せない」という考えは非常に危険です。

  • その取引に、税金対策以外の正当な事業目的・経済的合理性はあるか?

  • 他の納税者と比べて、著しく不公平な結果になっていないか?

税務署は、表面的な契約書だけでなく「実態」を見ています。「ウラワザ」のような節税スキームを提案された際は、それが「伝家の宝刀」を抜かれるリスクがないか注意が必要です。

 

「行為計算否認」については法治国家である日本において、「租税法律主義」に反している側面はあり、簡単に税務署側も使えるわけではありませんが、「行き過ぎた節税(実質的な租税回避)」に対しては否認される可能性があります。私自身は、実務において「行為計算否認」を経験したことはありません(ほどんどの税理士は経験ないと思いますが)。ドラマであの箱山税理士がすぐさま修正すると白旗をあげた、非常にこわい伝家の宝刀があるということは覚えておいてよいかもしれません。

 

岡崎市・西三河の税理士 税理士法人クレサス