平田玉蘊 「春夜宴桃李園序」 紙本 横46.5㎝×縦108.5㎝
李白の有名な「春夜宴桃李園序」を玉蘊(ぎよくおん)が絵画化した絵と思われる。
桃の花の満開の月夜、4人の中国の文人が集まり宴を開いている。
「春夜宴桃李園序」李白 では
「夫天地者萬物之逆旅
光陰者百代之過客
而浮生若夢
爲歡幾何
古人秉燭夜遊
良有以也
況陽春召我以煙景
大塊假我以文章
會桃李之芳園
序天倫之樂事」
と表現されている。人生は短いので、夜燭を灯して、桃の花を愛でる
机に座る向かって左の人は白紙を前に、詩を詠まんと想を練っている。主人と思しき中心の人物は従者に指示を出し、背中が見える文人はくつろいだ雰囲気である。
「春夜宴桃李園序」の後半は次のように記されている。
「群季俊秀
皆爲惠連
吾人詠歌
獨慚康樂
幽賞未已
高談轉清
開瓊筵以坐華
飛羽觴而醉月
不有佳作
何伸雅懷
如詩不成
罰依金谷酒數」
盃を交わして月に酔おう。そして詩を作り、雅懷(みやびな心)を述べ合おうと呼びかけている。まさに序の内容が絵に描かれている。
また、燭や急須などの食器も玉蘊らしく繊細に描かれている。
桃の木を中心にし、大胆な構図となっている。横46.5㎝×縦108.5㎝の大作で、玉蘊が李白の「春夜宴桃李園序」の世界に挑戦した作品といえよう。
落款から玉蘊20代後半~30代前半の絵と推測される。