狩野探淵の「春の草花図」 絹本 横41.0㎝×縦111.5㎝
前回紹介したのは狩野探淵の秋の草花図でしたが、今回は春の図で、前回の作との双幅です。
前回同様、紺地を背景にしている。太古石に牡丹の花を華麗に配置している。牡丹の花の色は白、薄紫、黄色、紫、桜色、赤と描かれている。特に赤の牡丹の色はひときわ鮮やかである。
牡丹の幹の周りには、蘭の花、たんぽぽの花と、春らしい草花が趣を添える。「探淵斎守真筆」の落款も見える。
探淵23歳の時の作と思うと、改めて作者の早熟の才を思う。狩野派鍛治橋家の当主としてどれほど活躍してくれるかと、周囲も大いに期待したであろうが、47歳の逝去はあまりに早い死と言わざるをえない。
双幅であるので、並べるとこのようになり、画の迫力が増す。紺地の絵画習得の意味も込め、高貴な武士階級からの要請に応えて作成された絵であろうか。
若き日の狩野探淵の画才が遺憾なく発揮された絵といえるだろう。