狩野探淵守真 「秋の草花図」 絹本 横41.0㎝×縦111.5㎝
鍛治橋家八代目狩野探淵守真(1805年~1853年)の「秋の草花図」である。
画全体を紺色の背景にし、大変華麗な絵である。
狩野派は一時期、このように背景を紺一色に描く技法を生み出したようである。例えば、木挽町八代目狩野栄信(1775年~1828年)の「郭子儀・花鳥図」(三幅対)に先例がある。(紺の顔料が高価なため、その後は技法として廃れたのかも知れない。)
立葵と黄蜀葵が色彩豊かに鮮やかに描かれている。花の周りには様々な蝶が飛び交う。
この世のものとは思えない美の世界が出現している。
画の上部は竹と瓜が描かれ、蜂や蝶が賑やかに飛翔している。
箱書きによると文政十年(1827年)の制作とあるので、探淵23歳の時の作となる。鍛治橋狩野家の跡継ぎとなると早くから英才教育を受け、23歳では既にひとかどの力量を身に着けていたことが分かる。
早熟な才を持つ狩野探淵は記録では嘉永6年(1853)に亡くなっている。享年49歳と早逝であった。