平田玉蘊(ぎょくおん) (50) 「桜に小禽図」 絹本
平田玉蘊、22歳に描いた「桜に小禽図」である。
落款に「戌辰春日玉蘊」とあるので、文化5(1808)年玉蘊22歳の作と分かる。印は
「玉浦」(尾道の古い呼称) 白文方印 、「豊印」(豊 玉蘊の本名) 白文方印
印は「尾道の豊女の作」という意味になり、玉蘊の初期の作品にみられる印である。
玉蘊は前年文化4年秋には、頼家の法要に招かれ、頼家一族や頼山陽とも初顔合わせをしている。
玉蘊にとって文化5年はまさに輝くばかりの青春の中にあったと思われる。一面に描かれた桜の花は、玉蘊の華やかな心の反映のようにも思える。
画は四条派の桜と鶯の絵としては完成度が高く、22歳で既に一人前の画家として歩んでいたことを想像させる絵である。