平田玉蘊 「和美人」 (48) 絹本
35㎝×90㎝
平田玉蘊の「和美人」である。
既に本ブログでアップしている、平田玉蘊(9)(10)と同系統の和美人図である。玉蘊の描く和美人は口紅に「笹紅(ささべに)」が用いられ、下唇に赤い紅の上に緑色(笹色)を塗る化粧法が見られる。(本作では笹紅の色が色落ちしているようにみられる。)
笹紅の化粧は高価なため、花魁を中心に化粧の際用いられ、特に化政期(1804~1830年)に流行したようだ。
平田玉蘊の美人画ではほとんど年紀が記入されていないため、玉蘊のどの時期に制作されたのか、分からない。
ただ、落款の印から玉蘊45~55歳代の円熟期の作と推測できるのではないかと考えられる。
始めの印は「章(あや)女」 朱文長方印 下の印は「玉蘊」 白文方印
この二つの印の組み合わせ作品は、40代円熟期の力作が多い。「平田玉蘊」(広島歴史博物館)図録57番「花器図」(1838年玉蘊52歳)にその例がある。
本作は、もの静かな表情の中にも凛とした強さを感じることができる女性に描かれている。