大江健三郎「万延元年のフットボール」 | OKPARIS王様のBOXSTEP投資

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5月11日(土)

「万延元年のフットボール」

今月の読書会の課題図書
O様蔵書の講談社文庫(昭和57年発行/1刷は昭和46年)で読了
(現在は講談社文芸文庫)

O様が王子の時代
60年安保は<あんぽごっこ>
70年安保は、大阪万博の影となって革命から刑事事件ニュースに転換
帝国主義論は、歴史経済学の学業に溶け込んだ

政治の季節のなかの、インテリ文学そのものだった
大江健三郎の小説は初期の短編ことごとく読み漁り
開高健・小田実・高橋和巳・倉橋由美子・阿部公房・・・
新潮文庫などの新刊ラインナップを顎をあげて町の書店のポスターで見つめ
書店の本棚をあらさがししていた

<万延元年>は
なかでも読書の価値を実感した記憶があり
文庫本を処分することなく置いていた

しかし
月日の経ること、はや半世紀
大江はその後も長く小説を発表しつづけたが
買うことはなかった
ノーベル文学賞を受賞されて
それがきっかけでなにか手にする、ということもなかった
(岩波文庫の「自選短編」は買って積読中)

今回、読み返す機会を得て
遇ぐう<同時代ゲーム>のあとに読書したことも
本作への高い評価をなお高らしめることとなった


四国愛媛県の山村で
旧家・家財の処分を行う

明治維新に先立つさまざまな地方で生じた一揆
念仏踊り・・・

主人公兄弟の祖先の姿が古文書などを通じ浮かび上がる
そして大東亜戦争・・竹やり訓練
朝鮮人の集落との対立(殺人事件とその収束)

現代(1960-)の変化 スーパーマーケットの進出
インテリゲンチャは<行動>できるか?


「本当のことを云おうか」
詩人の告白を引用して
鷹四の言動を挑発ととらえる


谷川俊太郎・鳥羽1
「・・・
本当のことを云おうか
私は詩人のふりをしているが
詩人ではない
・・・」


対立構図

(兄弟) 蜜三郎 vs 鷹四
(夫婦) 鷹四 vs 菜摘子
(民族) 村 vs 朝鮮人集落
(経済) フットボールチーム VS スーパーマーケットの天皇
(同時代ゲームにある「壊す人」の一体現的存在)

鷹に付き従う若者 星男 桃子
ジン(太った乳母)「楽便器」 
隠遁者ギー


イカムネカラーのシャツ・・p312