「TVCMを読み・説く」。第14回はエステー化学「消臭プラグ」です。

月曜9時のドラマ「のだめカンタービレ」見てますか?

「のだめ」面白いですよね!とうとう来週が最終回。残念です。


さて、この「のだめ」の枠で毎週違うCMをやっているものが一つあります。

「のだめ」をご覧の皆さま気づきましたか?
タイトルにもなっているのでお分かりですね。


「消臭プラグ」のCMです。

「消臭プラグ」のCMは、大きく分けて2種類。
一つは消臭プラグの特長を端的にアピールするCMで本編の位置づけである『消臭の乱 』篇、

もう一つは「小さいけれど~ 部屋一面消臭 消臭プラグ♪の『生コマ風ドラマCM 』篇です。


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(左『消臭の乱』、右『生コマ風ドラマCM』)

「生コマ」とは「生コマーシャル」の略で、『消臭の乱』篇に登場しているお殿様が、「消臭プラグ」に関する質問を次々と解決していきます。

なんで「生コマ風」なのかというと、実際は生放送ではないのですが、毎週内容が変わるからなんです。

  「どのくらいの広さに効果が?」
   「こんなに小さくても効くのか?」
   「電気代は高いの?」
  「安全なの?」            という具合に。

「のだめ」の枠では『生コマ風』が流れます。なぜ毎回内容が違うCMを作ったのでしょうか?


消臭剤の相場は通常300~400円ですが、この「消臭プラグ」は700~800円。

明らかに他の消臭剤とは値段が違います。

エステー化学は、まったく新しい価値「電気式ですごく効果的」を提示することで、他の消臭剤と競争をせずに、売れる開発を作りました。

これを新価値創造戦略(※)といいます。

そもそもエステー化学のスローガン は「世にないことをやる会社」であり

聞いて分かる、見て分かる、使って分かること」が商品開発の前提だそうです。


今までにない電気式の消臭剤「消臭プラグ」を開発したエステー化学 鈴木社長は、こう お話ししています。


「世にないことを開発することはそんなに難しくない。ただそれを定着させるのは大変なんです。消臭プラグやったときなんて世にないものだよね。売り上げの4倍くらいの宣伝費を世につっこんだんです。」


確かに「消臭プラグ」もそうですが、エステー化学の商品(消臭ポット、ムシューダ、ドライペット、・・・)は新しく、分かりやすい商品であるし、CMも良く目にしますよね。

以上のことを考えると「消臭プラグ」のCMは、

本編『消臭の乱』篇は商品の特長を伝える役割を、

『生コマ風ドラマCM』は消費者の気になるところを理解してもらう役割

果たしていると考えられます。


ちなみに『生コマ風ドラマCM』は業界初全11話。月9「のだめ」も全11話。

「のだめ」と一緒にスタートしましたので、来週クリスマスが最終回です!お見逃しなく!

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※新価値創造戦略:ニッチャーのセオリーである「細分化」と似ている。新しい価値を提示し、そこでのNo.1を目指すということでは細分化と同じだが、カテゴリーを定めないで新市場を創造するところが異なる

(村山 涼一集客を約束する7つのマーケティング戦略 より)


「TVCMを読み・説く」。第13回は任天堂「Wii 」です。


Wiiやりましたか?


 やった方 → 新しくて面白いですよね?
 やっていない方 → やりたくないですか?


このWii、新しさを感じます。この新しさのせいで、こんな人 まで出てきています(・∀・)

(YouTube「I want a Wii!!!~Wiiが欲しくて気が狂った男 」→マイミクS氏の日記より転載m(__)m)

さて本題に入ります。Wiiについてはすでに、村山私塾生同期であるzenroh 氏や竹谷 氏、イノウエ 氏が議論とヒットの解読をしました。これを見ることで、なぜこのWiiが流行ったのかがよく分かります。


まずzenroh 氏は、Wiiのインターネット接続装置としての役割を説いています。Wiiによって現在約57%程度のインターネット普及率が年内には60%を超え、当然それ以上にだってなる可能性があり、みんなネットにつながる時代になりそうです。

また竹谷 氏はWiiのUSP(※)「今までにない直感的なリモコン操作」から「みんなで新しい娯楽を共有したくなる」というヒット要因を導きだし、

イノウエ 氏もまた、USP「誰でも簡単に使える操作性」から「ゲームが家族の精神的HUBになる」というヒット要因を導き出しています。


二人とも、


USP:リモコンの直感的な操作性

ヒット要因:みんなと気持ちがつながる


というゲーム機であるという結論です。

さてWiiのCMです。WiiのCMには、発売前初期のCMと発売前後のCMと大きく分けて2種類のCMがあります。


・第一段階

発売前の初期のCMではWiiのUSPであるリモコンはこんなに操作性がすごいんだぞ!ということを前面に出し、新しいゲーム機であることを認識させる内容です。


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・第二段階

一方、発売前後のCMはWiiのヒット要因である「みんなと気持ちがつながる」ことを表現したCMで、Wiiを買うとどういうメリットがあるのかということを表現した内容です。


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第一段階でUSPすなわち強みをアピールして浸透し、そして第二段階でどうしてWiiが必要なのかを認識させているんですね。

だから私たちはWiiを、理由を持って買ってしまうんです。WiiのCMは人を納得させる構成になっていたんですね。


私も先日、友人T氏宅でWiiの「Wii Sports」と「おどる メイド イン ワリオ」をやらせてもらいました。

Wiiはその操作性の高いコントローラで、あまりゲームが得意でない妻でもボーリングでスコア200を出して優勝するくらい、感覚的な操作を実現しています。ゲームが人を選ばない「みんなと気持ちがつながる」点こそが、誰でも公平にゲームを楽しませるという家庭用ゲーム機の新しいかたちなんだと、筋肉痛の次の日に振り返ったのでした。


ちなみに、Wiiの特徴であるリモコンの新しさゆえにこんなことも起こっているようです(ノ゚ο゚)ノ



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任天堂ではこういう事故を予防するため、Wiiリモコンのストラップを無償交換 しているらしいので、Wiiをお持ちの皆さま、早めに交換された方がいいですよ。


※USP:その商品にしかない、独特(ユニーク)で、しかも消費者が求めている(セリング)主張(プロポジション)のこと。(宣伝会議マーケティング・コミュニケーション大辞典 より)


ついに出てしまいます!

ビジネススクールでしか、知り得なかったあの内容。。。

これを読むと「コンセプトって何?」というのが分かってしまう!

ちょっと悔しいお話です(>_<) が、絶対おすすめの一冊!!




今まで構造がよく分からなかったコンセプトの構造が明らかに!

「パワーコンセプトの技術(講談社)」発売

ヒットコンセプトには、「新しい意味」と「意識的な変換」があった

 2007125日、「パワーコンセプトの技術」(講談社)1600(税別)、村山涼一著が発売されます。当該書籍は、今までよく分からなかったコンセプトの構造を明らかにし、豊富な事例に基づいて、どのようにコンセプトを作ればヒットするかを解説した画期的な書籍です。ヒットコンセプトを「パワーコンセプト」と名づけ、それを作るためには、「新しい意味」と「意識的なコード変換」が必要と説きます。


■コンセプトの構造を明らかに

 多くの人たちが普通に使うコンセプトという言葉。しかしそれが何を意味するのかと聞かれると、答えられる人はほとんどいません。それどころか、コンセプトの定義が個々人バラバラのまま議論を進めているのではないでしょうか。その結果、「この商品はいったい何がいちばんの強みだったんだっけ?」とチームメンバーが途方にくれて、しかしもうその段階では後戻りができず、時間だけがどんどん経っていく――こうした混乱が各社で起きているが現状ではないでしょうか。