【 グーグルマップ 】 | 週100時間働く内科医のブログ 【王子北口内科クリニック】

週100時間働く内科医のブログ 【王子北口内科クリニック】

勤務医・開業医を兼業しながら、人生の目標を達成するために考えたことをつづります。

【 グーグルマップ 】

 

その開発に、

CIAがからんでるって聞いて、

一時は使わないでいたんですが。

 

やっぱり、すごいです。

 

グーグルマップがなければ、

たぶん、往診や訪問診療の手間は、

かなりかかるはず。

 

あのね、

 

東京の下町の

こみいった路地に並ぶ家に

初っぱなから、ちゃんと

訪問できるって、奇跡みたいなのね。

 

こういうの慣れている、

郵便配達でも、

宅急便の兄ちゃんでもないから。

 

下手したら、自分の位置が

わからなくなって、

青木ヶ原樹海かと思うことがある。

(行ったことないけど)

 

いまなら、

 

グーグルの検索窓に

住所を丁目や番地まで入れて、

「地図」で調べると、

都内なら、ストリートビューまで

ばっちり出てきて、

 

「ああ、このポストのわきの

階段降りて、すぐ右斜めね」

 

とか、

 

「この奇抜な定食屋さんの

3軒となりの、奥ね」

 

とか、よく分かる。

 

近場は、訪問診療は、自転車。

 

こういうきっかけでもなければ、

もしかしたら、一生、

通り抜けることもなかったであろう、

路地や、踏切や、公園や

でかい団地の中を、

のんびり走るのが、楽しいのね。

 

「それにしても、ひまだなあ」

 

とか、感じながら、ニヤニヤして。

 

で、

 

いろんな「お宅拝見」も

またまた楽しいのね。

 

まあ、あれです。

 

うちも、似たようなもんだから、

片付いていなくても、

心配いらないのです、みなさん。

 

犬にかまれそうになるのは

勘弁してほしいけど。

 

「掃除してるか」

「ヘンなにおいがしないか」

「テレビがうるさいか」

「テーブルの食いかけはいつのもの?」

 

などは、気にしない。

 

『ここに、何年とか、何十年とか、

確かに人が、家族が生きてきた

物語がしみこんでるんだなあ』

 

と、思うと、

 

傾いたままの、黄ばんだ壁の写真

(だいたいは、軍服着た青年=患者さん)

を見るだけでも、なんだか、

 

しんみりする。

 

老老介護とか、みんな、ことばだけで

「問題」だとか「解決しなきゃ」とか

言うけど。

 

やはり、黄ばんだ壁には、

 

その「老老介護」しあって、

懸命に生きてきた「ふたり」の

60年前の姿が、結婚式の

写真に納められている。

 

現実に「そこ」にあるのは、

高齢化率が何パーセントとか、

医療費がなんぼ、とか、

保険システムがどうとか、

 

そんな、数字、で割り切ったり、

エクセルで計算できたりする

現象ではなくて、

 

『生身の人間が、確かに生きてきた歴史』

 

なんだなあ。

 

訪問診療は、楽しいし、おもしろい。

正直、私には、向いていると感じる。

 

ただ、

『人ひとりの生きてきた歴史』を

ものすごくリアルに感じる瞬間が

 

切ない。

 

ほんとうに、切ない。