「歌われなかった海賊へ」 | 酒とミステリの日々 時々ラーメン

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今回紹介するのは、「同志少女よ、敵を撃て」で本屋大賞を受賞した逢坂冬馬のこの本!

 

「歌われなかった海賊へ」(逢坂冬馬著 早川書房)です!

 

 

1944年、ナチ体制下のドイツ。父を処刑されて居場所をなくした少年ヴェルナーは、体制に抵抗しヒトラー・ユーゲントに戦いを挑むエーデルヴァイス海賊団の少年少女に出会う。やがて市内に敷設された線路の先で「究極の悪」を目撃した、彼らのとった行動とは?──本屋大賞受賞第一作。

 

読んでみた感想は…。

 

ほろ苦い結末…でも、ほんのりと光る希望がいい…。

 

でした!

 

ナチ支配の戦時下ドイツに実在した反体制の若者たちが作った「エーデルヴァイス海賊団」を題材に、ヒトラーユーゲントとの抗争を繰り広げた少年少女たちの群像劇です。

 

前作と同様、「歴史上実在はしていたが、その詳細はよくわからない」という題材を取り上げ、このような青春小説であり、冒険小説に仕上げる作者の手腕は見事だなあ…と感じました。

 

「線路の先にあるもの」を目指して進む若者たち、というと、ちょっと「スタンド・バイ・ミー」みたいな感じもありましたが、その結末はかなり重苦しい…。

 

ラストは読んでいて、ちょっと胸が苦しくなりましたが、少しだけ希望も感じさせてくれたので、救われた感じがしましたね。

 

前作同様、キャラクターの造形もよく、特に主人公ヴェルナーが「エーデルヴァイス海賊団」に入るきっかけとなる少女、エルフリーデが魅力的でした。

彼女がハーモニカを奏でるシーンや、歌を歌うシーンが、重苦しいテーマの本作の清涼剤になってると思いました。

 

まあ、ミステリというよりは「歴史青春冒険小説」という感じなんですが、冒頭の偏屈な老人フランツの謎が、その過去を知ることで明かされる、という展開に少しミステリ風味があるかな…と思うので、「広義のミステリ」としちゃいます!

 

ということで、お気に入り度は82点でした!