ども、OKKAです。
年末年始、いっぱいミステリが読めるわ~!と思っていたのですが、いろいろとやることが多くて、まだ2冊しか読めてません…。
そんな中から1冊を紹介!
「禁断の魔術」(東野圭吾著 文春文庫)です!
内容(「BOOK」データベースより)
姉を見殺しにされ天涯孤独となった青年。愛弟子の企てに気づいたとき、湯川がとった驚愕の行動とは。!
かつて湯川が指導した、高校の物理クラブの後輩・古芝伸吾が帝都大に入学してきた。だが彼は早々に大学を中退してしまい、その影には彼の姉の死が絡んでいたらしい。その頃、フリージャーナリストが殺された。その男は代議士の大賀を執拗に追っており、大賀の番記者が伸吾の死んだ姉であったことが判明した。草薙は伸吾の姉の死に大賀が関与しており、伸吾が大賀への復讐を企んでいると警戒する。湯川はその可能性を否定しつつも、伸吾が製作したある“装置"の存在に気づいていた。「私は君にそんなことをさせたくて科学を教えたんじゃない」――湯川と愛弟子の対決の結果は!?
単行本『禁断の魔術』では中編(250枚)「猛射つ」として発表された作品に、200枚超加筆する文庫オリジナル長編バージョン。
「ガリレオ」シリーズ8作目…なんですが、ちょっと立ち位置がややこしいですね。
というのも、紹介にもある通り、この小説は単行本8作目の「禁断の魔術 ガリレオ8」という中編集に入っていた「猛射つ(うつ)」に加筆された文庫オリジナル長編です。
かなり加筆はあるものの、内容は「猛射つ(うつ)」とほぼ同じ。タイトルも同じ「禁断の魔術」ですから、8作目というよりも、「8.5作目」というのが正しいかもしれません。
ちなみに、ガリレオシリーズの既刊(単行本)は以下の通り。
1.『探偵ガリレオ』
2. 『予知夢』
3.『容疑者Xの献身』
4.『ガリレオの苦悩』
5.『聖女の救済』
6.『真夏の方程式』
7.『虚像の道化師 ガリレオ7』
8. 『禁断の魔術 ガリレオ8』
9.『沈黙のパレード』
10. 『透明な螺旋』
1、2、4、7、8が中編集、3、5、6、9、10が長編です。
これが、文庫化の際に、「禁断の魔術 ガリレオ8」の「猛射つ」以外の3つの作品は、「虚像の道化師」にまとめられました。
ですから、文庫版では、
7.『虚像の道化師』
8.『禁断の魔術』(本書)
となります。
で、なぜこれだけが「長編」として再構成され、一冊の本として出版されたのか。
2015年のインタビューで作者が語ってるんですが、要は「中編にするか、長編にするか迷っていた。中編を書いてみたが、やはり気になっていて、文庫化の際に長編に直した」ということだそうです。
…なかなか内容に入れない…。
読んでみて、この物語を「面白い」と思えるかどうか、というのは、主人公のガリレオこと湯川学の「人間としての思いや熱さ」に共感できるかどうかにかかってるかな、と思います。
ミステリとしての、トリックや謎解き部分は正直言って弱いです。
でも、その分、湯川をはじめとする登場人物の心情に焦点があてられた人間ドラマになっています。
元になった中編「猛射つ」と比べてみたら、人物描写の違いがよりはっきりします。
個人的には、かなり「人間臭い湯川」を見ることができて、面白かったですね!
ラストの湯川の行動にはかなり心を打たれました。
「容疑者Xの献身」のような、トリックや謎解きを求めると、ちょっと物足りないと思いますが、「湯川学」というキャラクターのファンなら、読んでみて損はないと思います!
ということで、お気に入り度は77点でした!