2024年度 総会のご報告 | 沖道ヨガ九州のブログ

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ヨガを日本に紹介したレジェンドである沖正弘師の大切な教えを守り、これから現代の生き方をヨガを通して考え実践していく、楽しい会です。

1、第36回 総会に向けて   沖道ヨガ九州  会長 首藤和好

 

 今年はコロナの規制が緩和され、世の中の経済活動も徐々に以前のような状態へ戻ってきましが、ウクライナだけでなくパレスチナにも戦争が拡大し、連日のように胸の痛む残酷なニュ-スがテレビ画面で報道されています。どちらも宗教には熱心な地域ですが、宗教が戦争の抑止に何の役にも立たないのは悲しい限りです。

 さて、沖道九州は4年間活動のブランクがありましたが、今年は3回のセミナーを無事終えることが出来ました。秋の半断食セミナ-は久しぶりだったのでとても新鮮で、これまでの食生活を見直す良い機会になりました。

 

 年末の総会とセミナ-では、川﨑先生と林先生に来ていただき、短い時間でしたが、大変有意義なセミナ-でした。

林先生の講義では日本的霊性が形成された過程を詳しく説明していただき、以前著作を読んだだけでは気付けなかったことも深く理解することが出来ました。

 

 川﨑先生は来ていただくだけでも有難いのですが、毎回たくさんの刺激をいただいて本当に感謝しかありません。

「沖先生は、宗教心というのは、感謝心、懺悔心、下座心を持ち、愛の心を持って奉仕業を生活に中で、実行することであり、どの程度それができるかが宗教心体得の目安となります。このような生き方を道といいます。」と教えられました。川﨑先生の普段の活動を伺うにつけ、沖先生の教え「道」をまさに実践されていると思います。日々の生活の中で感謝心をどのような形で表わし、愛の心を持って奉仕業を実践するかが、沖道を学ぶ我々に与えられた課題のような気がしました。

合掌

 

2、総会セミナー報告と感想

 

 2024年度の総会と一日セミナーを去る2023年12月3日・4日に、大分県湯布院クラブで開催しました。

一日セミナーの講師には、2年ぶりに川崎嘉子、林久義両先生をお迎えいたしました。

 

 林先生にはまず「南北和解の儀」というテーマで講義をしていただきました。先生には近年出版された『令和と霊咊の日本的霊性』というご著書を基本にお話しを進めていただきました。お話は仏教を初めとした宗教、歴史、政治史、国内外の情勢など多岐にわたりました。

国内外で起きている諸問題、民族・宗教間の紛争、温暖化による大気汚染などの環境問題、ウイルスの感染拡大、地震、大雨などの災害、農業・食料問題など、まさに世紀末的混乱の様相をおびてきています。

 これは、一つにはアメリカ、アジア、ヨーロッパ大陸などの南北問題に起因しているようです。日本にもかつて南北朝の争乱がありました。林先生は、これらの時代を乗り越える鍵として、「和をもって貴(尊)しとなす」(聖徳太子)という言葉で代表されるような日本人の伝統的精神「大和心(やまとごごろ)」を挙げられています。大和心は相手を思いやるやさしさ、融和の心でしょうか。そして、未来仏・弥勒菩薩がこの世に降って衆生を救うとされるといわれる、ミロク(弥勒)の世を実現するにはどうすればよいのかという問いかけをされているようでした。

 

 次にテーマ「金剛薩埵(こんごうさった)の冥想」に移りました。 

 チベット仏教の深い修行を経ていない私が、金剛薩埵の意味などを語るのはおこがましいと思いますが、林先生の講義から刺激を受け、あえて私の感想と思いを述べさせていただきます。

 密教の中心仏大日如来は、宇宙の根源仏といわれます。大日如来は言葉を発することはなく、その意味と心を民衆に伝える役目を負ったのが金剛薩埵だということです。そして行者が金剛薩埵になる訓練法が金剛薩埵の冥想法です。金剛乗はチベット仏教の後期密教で、弘法大師が中国からもたらした真言密教の時代の後に起こり、日本には伝えられなかった行法です。

 大日如来の心は、空相であり、仏性であり、その心の本質をとらえた金剛薩埵の菩薩行が、ありのままの真実を観る知恵であり、慈悲「抜苦与楽」です。抜苦とは人々の苦しみをやわらげ、相手の苦しみを我がことのように理解し、取り去っていくことに協力することです。また、相手を理解すれば自然に慈しみの心が生まれ、相手が良くなるように、楽つまり幸福をもたらす行動を起こすことができます。

空相は体得しなければ理解できない境地ですが、しいて言えば、とらわれのない心、自由自在の心、中道の生き方などでしょうか?

 また、仏性は悟りの種子であり、①相手を自分と同じ尊い生命を持つ存在として思いやる(愛) ②生かされていることに対する感謝心 ③わが身に起こることはどんなに苦しく辛いことでもよい方へよい方へと積極的に解釈し、行動に移すこと お釈迦さまがおっしゃったように④自分が自分がというエゴが無く ⑤何でも自分のもの自分のものという独占欲も無く ⑥心の中で自分の都合のよい物語を作りだして行動する(迷妄)ことが無くなったとき、自然と出てくる「ありのままの心」等ではないでしょうか。私の努力目標です。

 大日如来の心の本質(空、仏性)は、人間をはじめ、あらゆる生き物の中にある(偏在)と言われています。心の本質を体得し、この心で日々を生きていくことが、ミロク(弥勒)の世の実現につながるのではないでしょうか。

講演の最後に、金剛薩埵の瞑想を林先生の指導のもとに、参加者全員で実習しました。

 チベット語で百字真言、金剛薩埵の真言、懺悔文を唱え、三分間瞑想や、大日如来の心の本質が降りてくる観想も行いました。 

 

 林先生は現在飛騨の山中に、地元の人々の協力を得ながら独力でチベット寺院・タルタン寺を建立されています。ご著書『令和と霊咊の日本的霊性』の中に「師(タルタン・トウルクの)法脈ゾクチェンの教えの要訣は、「本来清浄」「円満成就」(自然無為)と言われています。タルタン寺では、夫婦円満、家族円満、心の平安。この教えの実践が、禅定と祈りです。心から霊性を感じ取り、神仏のご加持を得て、常に天地人のバランスを祈っています。」とあります。

 また、ご著書のあとがきの最後に書かれている言葉が特に印象に残っています。

 「・・・・私は、五年後十年後の令和の時代は、今とは全く違った世界が出現していると観想しています。それは今のあらゆる問題が根本から転換した新しい世界です。分かち合いと調和、喜びと信頼、安心と平和、いつも笑いのある生活が顕現している、そんな日本を観想しています。家庭単位社会単位の基本は地産地消自給自足、新たな技術を組み合わせた低エネルギーの生活、各地域のコンパクトな自立的暮らしが緩やかに繋がり、各地の特色ある知識と技術が相互に関わり合っている、地と血と智を重んじる霊性の祈りの日々は笑顔のある生活、個々の目覚めから自然と社会が変わり、日本から世界が変わります。そんな日本を霊視しています。それが、弥勒の世です。」

 

 川崎先生には、「沖先生から学んだこと」というテーマでお話しをしていただきました。病弱だった先生が、沖先生の厳しく、かつ思いやりのあるご指導で回復されたことなどをお話いただきました。更に私の知らない沖先生の個人的な生活や冥想指導の様子も語っていただき、沖先生を大変身近に感じることができました。

またお話しの合間に、コロナ感染などの予防のための首への整膚術、また座った姿勢での足腰を整える体操、両腕を胸の前で交互に円を描くように廻して、心身の状態を整える動きなどもご指導いただきました。

何よりも90歳を超えるご高齢で、1時間20分を2タイム、やわらかな笑顔で立ったままお話しされるお姿に、参加者全員が感銘を受け、励ましをいただきました。(池田記)

 

 

                      合掌