連載「毎日がアーユルヴェーダ——糸島の台所から」第3回
インドに「キチュリ」という料理がある。
米と豆を一緒に炊いたもので、カレーでも粥でもない、その中間のような、やさしい食べもの。
インドではどの地方にもあって、呼び名も作り方も微妙に違うけれど、共通しているのは「消化にいい」こと。
アーユルヴェーダでは、からだを浄化したいとき、疲れたとき、パンチャカルマ(浄化療法)の前後にも食べるものとして、特別な位置づけにあります。
消化の火(アグニ)が弱っているときにこそ食べたい、米と豆の完全食。
私がいつも作るのは、皮なしのムング豆とお米だけのシンプルなもの。ターメリックが入るので、炊き上がりはほんのり黄色くなります。
ベースにしているのは、日本のアーユルヴェーダ料理研究家・香取薫先生の「アーユルヴェーダ健康食」のレシピ。先生の本を開くたびに、インドへの愛情と丁寧な研究が伝わってくる、大切にしている本。
材料(2人分)
米 1/3カップ(日本米でもインディカ米でも)
ムング豆(皮なし) 1/4カップ
水 2と1/2カップ+差し水用1/2カップ
ターメリック 小さじ1/5
油 ひとたらし
塩 小さじ1/2~お好みで
タルカの材料
ギー 小さじ2
クミンシード 小さじ1/4 ヒーング ひとつまみ にんにく(みじん切り) 小さじ1/4 生姜(みじん切り) 小さじ1/2
作り方
- 鍋に洗った米、洗ったムング豆、水、ターメリック、油を入れ、30分吸水させておく。
- 火にかけ、沸騰したら弱火にして米と豆が柔らかくなるまで炊く。
- 途中、濃度がついて焦げやすくなってきたら、ヘラで鍋底のお粥をどけながら差し水を少しずつ入れる。
- 濃さは好みと消化力に合わせて水加減を調節しながら炊き上げる。
- 塩で味をつける。
- タルカを作る。小さな鍋でギーを温め、クミンシードを数粒落とす。シューッと泡が出てきたら弱火にして残りのクミンシードを入れ、ひと混ぜしたらヒーングを加える。すぐににんにくと生姜のみじん切りを入れて混ぜる。全体が色づき、香ばしい香りがしてきたら、油ごと炊けたお粥の上にかける。
クミンシードをギーに落とした瞬間、シュワッと泡が立って香りが立ち上がる。あの音と香りが立つと調理というプロセスの仕上げの儀式のようだな、といつも思う。
大根がある時は、必ず入れます。
輪切りにして2センチほどの高さのものを細切りにする。沖縄の「シリシリ」くらいにですね。
ホームセンターにはシリシリ専用コーナーまであるほど県民に愛されるおろし器なのだけれど、これが実によく指が削れる(笑)。
なので今はボックス型のチーズおろしを使っています。安全第一。
大根を入れる理由は、消化を促す働きがあるから。キチュリ自体がすでに消化にいいのに、大根があればさらに一歩、からだへの親切が増します。
食べると、やさしいのに満足感がある。
ギーのコクとタルカの香ばしさが加わることで、まぁただのお粥なんですが、ちゃんと美味しい。
キチュリだけで食べるのはもちろん
カリーやサブジを合わせても
食べ終わったあとに「整った」という感覚が残る。それがキチュリの不思議なところです。
8月のリトリートでも作ります。糸島の夏野菜を入れたアレンジ版も考え中。どうぞ楽しみにしていてください。
(次回:スパイスは「薬」だった——台所に揃えたい7つのもの)
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