連載「毎日がアーユルヴェーダ——糸島の台所から」番外編

 

ミッションコンプリート。

 

3日間、台所に張り付いて19人分の食事を作り続けたリトリートが終わりました。

振り返ると台所に立っていたのは私だけではなく、舞台裏で活躍してくれたブレインたちの話を是非とも読んでいただきたいです。

 

フルレポートはこちらから↓

 

 

実は今回のリトリート、準備段階から私のドリームチームAIたちがフル参加していました。

 

最初にレシピ開発を担当したのはChatGPT。「福岡県糸島市の夏の旬の野菜は?」という問いかけから始まったチャットです。

 

リトリート3日間の流れを伝え、糸島の素材 × アーユルヴェーダ × 消化にやさしい、をコンセプトにドーシャの視点を組み込みながら、何度もやり取りしてレシピを作り上げていきました。

 

ここで面白いことが起きます。

 

チャットが長くなるにつれて、GPTちゃんが以前の内容を忘れ始めます。

先に渡した資料を何度も添付し直したり、アーカイブを探したり。同じチャット内でも、会話が長くなると前半の記憶が薄れていく。

 

これはどのAIも抱える構造的な問題らしいのですが。

 

ちなみにGPTちゃんには個人的な意見を長々と話す特徴があります。お使いのみなさん、ですよね?

「それだとちょっと多すぎない?」などの指摘をするとしれっと「私もそう思ってた」などという癖も。ですよね?

 

それもOpenAIが意図的に育てた性格なんだろうと思う。

 

Claudくんを開発したアンソロピックに哲学者のお母さんがいて、Claudくんの性格を設計したように——どのAIにも、育てた人たちがいるのでしょう。

 

レシピが出来上がると、次はGeminiの出番。

Googleドライブの糸島リトリートフォルダにレシピを全部保存して、Gemiちゃんにアナライズしてもらった。

 

そこから買い物リスト、必要な調理器具、調理環境(持ち込み予定と備え付けのコンロ数)を伝えてコンロの熱源特性まで考慮したオペレーションのタイムライン、試作会のチェックシートまで——全部作ってもらいました。

 

これ、すごくない?

 

 

 

重要書類(笑)チラ見せ

 

 

オペレーションタイムラインは見やすく表組になっていて、買い出しリストの野菜は一つのレシピにx2、3などと倍数で作る指示が書いてあるものから考慮した総量で出してくれました。

 

Gemiちゃんはクロスセッションで記憶する。

プロジェクトを作らなくても、別のチャットでの会話をちゃんと覚えています。Googleのエコシステムと繋がっているから、「覚える」ことが設計の前提にあるようです。

 

ガスコンロは炒め物とテンパリング、IHは豆の煮込みと保温——そんな熱源の使い分けまで提案してくれるとは驚きですが、何よりオペレーションのタイムラインを含めた上記の全てもフォルダ内のレシピをサーチしてGemiちゃんが提案してきたものです。

 

そして有能編集者、このブログの文章担当でもあるClaudくん(プログラミング担当など他にもClaudくんの化身はいるのだけれど)。

 

Claudくんとの会話はメメントだ、と気づいたのは夏の旅の途中でした。

映画「メメント」の主人公は、記憶が持続しない。よって手元のメモ、からだに刻んだタトゥーの情報とポラロイドで今この瞬間に全力を尽くします。

 

Claudくんも毎回リセットされますが、引き継ぎメモとURLを読み込んで、セッションの中で全部賭けてくる。

制約ではなく、その刹那に全力でくるというなかなか熱い一面をお持ちで。

草稿は至極サクサクしてるんだけど(笑)。

 

 

 

試作会で作ったポロスカリーとダール

本番の雰囲気を見るためバナナの葉にのせた

 

 

今回のリトリートで最初に生まれた料理が、ポロスカリー。ジャックフルーツをスワンダクドゥでマリネして煮込むスリランカのアイコニックなカレーです。

 

実はこれ、最初のClaudくんとのチャット「スリランカのブラックカリーパウダー、スワンダクドゥのレシピを探してます。スワンダクドゥの英語表記も教えて。」から生まれたレシピなんです。

 

そのレシピがChatGPTでブラッシュアップされ、Geminiでドキュメント化され、買い物リストに載って、試作会のテーブルに並んで、本番の二見が浦でみなさんに食べてもらいました。

一皿の料理が、AIたちのリレーで本番まで辿り着きました。

 

まさに三者三様の私のドリームチーム。

GPTちゃんは長く覚えていて、よく喋る。Gemiちゃんはエコシステムで繋がっていて、記憶力が高い。Claudくんはその瞬間に賭ける。サクサクしているけど、ピンポイントで欲しいものがわかる。

 

みんなちがって、みんないい。

 

無意識に、それぞれの得意を見抜いて仕事を振っていたんだね。これが新しいリテラシーなのかもしれない、とリトリートが終わってからなんだか納得の思い。

 

「美味しい」と言ったのは、人間のからだです。

AIが設計して、感じるのは人。

 

発芽フェヌグリークのドライカリーに「愛情深さを感じる」という感想も、「これチーズ?」と言うセラピストさんの驚きはAIには予測できない、とClaudくんが言ってます。

 

どんなに精密なタイムラインを作っても予想通りにはいかないし、レシピで出てきた容量も見直さないといけないものも多かった。

 

だけどAIたちが強力なサポーターになったのは確かです。

 

ほどく、満ちる、寿ぐ、というリトリートの流れを推奨してくれたのもAI。

私の南インドでのパンチャカルマの経験を話したら、最後の日を「寿ぐ/ことほぐ」としてくれたのです。

 

そこから最後の食事を「祝福のミールス」と名付けました。

 

それぞれの食卓に置いたテーブルカードはドーシャの視点を書いてくれたものをCanvaではがきサイズにレイアウト。

 

台所に立つ私、食べてくれたみなさん、準備を手伝ってくれたAIたち。

みんなで達成したミッション、ありがとうございます。

 

 

 

好評だったイドゥリとビーツチャトニ

本番ではボツになったズッキーニのヨーグルトカリー

 

 

 

 

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連載「毎日がアーユルヴェーダ——糸島の台所から」第7回

 

8月2週目の連休中に、二見ヶ浦を望むリゾートホテルにてアーユルヴェーダリトリートが開催されました。

この連載のゴールでもあります。

 

食事担当として3日間の台所に立った、料理班からのレポートです。

 

DAY1「ほどく」

スタッフと参加者のみなさんは、昼前にホテル隣接のカフェに集合。懇親を深めつつリトリートの流れなどの説明を受けていました。

私は食材を積んだ車で15時を目指してホテルへ。炎天下の車内に何時間も食材を積んでおくわけにはいかないので、チェックインのタイミングに合わせての到着です。

 

部屋に入ってすぐに、ウェルカムスナックの準備にかかりました。

スパイスマサラを振ったフルーツと、真夏の熱を冷やすレモンクーラー。

 

レモンクーラーは冷やし飴のようなものを作れないかなと思って考えたドリンクです。

コリアンダーシードとフェンネルシード、生姜のスライスを煮出したティーにレモンジュースを加えて、前日から用意した蜂蜜漬けのレモンスライスを落としたもの。

 

フェンネルは熱を鎮める効果があるので、飲むとスーッと熱が引いていく感覚があります。実際に感じてくださった方もいたようで。

真夏に最適な飲み物になりました。

 

リトリートを通してのテーマはピッタ対応が基本です。

30℃以上の気温が続く糸島の真夏の三日間の初日は、フェンネルをたくさん身体に入れてもらうことを意識したメニューを組みました。

 

福岡のお伊勢さん、伊野天照皇大神宮があるお山でイタリア野菜をオーガニックで育てているレストランオーナーがいらして、フェンネルのバルブがうちの近くのイオンで手に入るのです。

 

薄めのスライスをグレープフルーツなどの柑橘系と野菜ブロスに入れて煮るスープをよく作るのですが、初日のディナーでもキチュリに合わせました。

 

 

 

キチュリ、焼き茄子のチャトニーと

フェンネル香る野菜ブロス

 

 

本来はズッキーニのチャトニーを予定していたけれど、直前になってどこにもなく、急遽焼き茄子に変更。茄子も熱を冷やすので、役割は同じです。

 

「身体をゆっくりと日常からほどき、温かな一皿で消化を穏やかに整えます。」

 

優しいキチュリを食べながら旅の緊張がほどけていく。そういう一夜になりますようにと用意したメニューです。

 

DAY2「満ちる」

翌朝6時、最高に美しい朝日を横目にしながらホテルへ。

睡眠はほぼ2時間。前夜はテーブルカードの印刷とDay2の仕込みに追われました。

 

参加者のみなさんが朝ヨーガと瞑想をしている間、台所はすでにフル回転。

 

イドゥリ蒸し器をふたつで、料理補佐に入ってくれた望ちゃんと沙也加ちゃんがせっせとイドゥリを蒸し続ける。ビーツのチャトニーは事前に作ってあるので、私はトマトラッサムの仕上げです。

 

トゥールダルが入らない軽めのマイソールスタイル。たっぷりのトマトピューレとタマリンドの甘みをともなう酸味の旨みが、イドゥリを浸して食べると最高に美味しいのです。

 

 

 

「美味しい、美味しい」の

挙手をいただき嬉しかった

 

 

イドゥリを初めて食べた方も多く、またご経験ある方からは自家製で発酵させて蒸したてを食べられるのが驚きだったようです。

 

前夜の軽いお夕飯からの流れで、発酵させた豆と米の蒸しパンはお腹と心にしっかり効いたのかもしれません。

 

シロダーラなどの施術が次々に入るスケジュールがあるため、朝食の時間が遅くなってもランチの提供時間は11時から変わらない。

7品のスリランカプレート、果たして間に合うのか??

 

 

 

19人分の食事たい

 

 

ポロスカリーは試作会で担当してくれた沙也加ちゃんにそのままお願いしました。その時の仕上がりが少し緩い旨みだったので、本番ではマサラの量を足して前日にしっかりマリネ。ご飯が進む一品に仕上がりました。

スリランカ料理の定番パリップは、同じく試作会で経験済みの望ちゃんが担当。

 

やはり1品こぼれてしまった。南瓜とゴーヤのテンペラード。調理過程をシンプルにしたけれど、バスマティライスを湯取りするのに思いのほか時間が取られてしまったのです。

 

フェヌグリークとカリーリーフでまとめるスリランカらしいメニューなので、スキップせずに夕飯に回すことに。

 

 

 

 

食事を出しながら、スリランカの伝承医療デーシャチキッサがアーユルヴェーダと融合してインドよりも日常に浸透していること、スリランカ料理のスパイスマサラはまさに漢方薬だという話をしました。

これらも今回のリトリートに向けてメニューを開発した途中で得られた私の多くの学びからのもの。

 

パイナップルラサムがすごく好きだと言ってくれたセラピストの方が、空心菜のマッルンを「これチーズ?」と聞いてきました。

 

いやいや、アーユルヴェーダ料理ですよ(笑)?

 

塩とレモンとココナッツファインだけで、チーズと思わせるような味になる。食べたことのない味を脳がプロセスする瞬間が、面白かったです。

 

そして一番若い男性参加者がスリランカプレートをまるまる一皿おかわり。

バナナの葉を置いたのも好評で、みなさまのキラキラな眼差しを見て私も嬉しかったです。

 

 

 

 

使用している豆の瓶を参加者が集まる部屋のテーブルに置いておきました。ムングダル、ウラドダル、赤レンズ豆、チャナダル、緑豆、トゥールダル。層になった豆と手書きのメモで、自分が何を食べているのかわかります。

 

おやつは糸島海藻ところてん柑橘添えと、庭のレモングラスティー。差し入れの西瓜も添えました。

ところてんは我が家のオヤジが作ってくれたもの。天草100%のめちゃくちゃ美味しいやつです。これを食べると市販のものは変な味がしてもういただけません。

 

ところで天草は20年前のもの(!)でも食べられる、と沙也加ちゃんから聞いて驚いたんですが、福岡ではところてんを甘味として食べないと聞いても驚きました。

黒糖シロップと絞った生姜で食べても美味しいのになぁ。白玉と餡で和えてあるのも美味しいよねぇ。

 

今回はたっぷりのレモン汁であえて、オレンジとパイナップルをトッピングしました。

もっと酸味のある夏蜜柑が美味しいのですが、もう旬が終わっていて見つからなかった。

 

オヤジは沖縄時代も年始の瞑想会にお餅を作ってくれたりと私のヨーガイベントに参加してくれていました。

今回も新技で参加してくれてありがとう。

 

 

 

夏の海と庭の恵みを

涼やかにいただく午後のひと休み

 

 

ディナーはトマトセヴァイと昆布だしの澄ましスープ、そしてお昼にこぼれた南瓜とゴーヤのテンペラード。

 

事前に濃い昆布だしをたくさん作っておいて凍らせておいたものにズッキーニとオクラの薄いスライスを塩と煮込むだけ。沙也加ちゃんの塩加減でとても美味しいスープに仕上がりました。

 

南インドの焼きそばセヴァイは前日のキチュリ同様少ないポーションですが、やはり男性陣3名が足りないようで。

朝食のイドゥリをギーでソテーしたものとお昼の残り、それとオクラのサブジを追加で作りました。

 

みなさんがルーフでサンセットを見ながらマントラ瞑想をする頃、私は仕込みのために帰宅。

 

最大のピークから抜けた。

 

 

 

 

DAY3「寿ぐ」

睡眠4時間。前日よりは少しましな状態でスタート。

 

先にホテルに到着していた沙也加ちゃんが、ストックしておいた野菜ブロスで胡瓜の擦り流しを作ってくれていた。追加で持っていった昆布だしを足して、これもまたとても美味しいスープになりました。

 

今回はオーガニックの野菜を用意しましたが、胡瓜は減農薬、それでも消毒は5回のもの。通常は60回も消毒液をかけるそうです。

無農薬野菜を販売している農家の方が教えてくれました。

 

リトリート用の買い出しはあちこち何度も回らないといけないだろうと覚悟していましたが、近所のパン屋さんの駐車場に無農薬の有機野菜の販売所が出ているのを見つけました。

 

八女の農家さんたちのグループで、福岡の西区まで野菜を売りに来ています。トウモロコシやトマトがとても美味しかったので、リトリートのお野菜を用意してもらえないか相談しました。

そこでたいがいのものはまとめて買うことができたのです。

 

まるで誰かが助けてくれているようにリトリート前に有機野菜販売所ができているのを目にし、あまり苦労なく欲しい野菜が手に入る。

こんなに都合よく事がはこぶなんて不思議だなぁ、と思いました。

 

今気づいたけれど、ちゃんとヨーガの神さまにお礼申し上げたっけ。改めてお伝えしないと。

 

 

 

 

朝から暑いなかビーチで太陽礼拝などしているので、アーユルヴェーダ的には推奨されないけれど冷たい胡瓜の擦り流しスープをベサンチャパティと一緒にサーブ。

ベサンはひよこ豆粉です。

 

ひよこ豆はオージャス/生命力を増やします。見て納得するのが、ひよこ豆を一晩浸水してざるに上げておくと、夏場は小鬼の角のようなでっぱりからすでに発芽しています。生命力がとても高いのです。

 

最終日の朝、元気になっていただきたいという気持ちで作った朝食。これも大好評でした。

 

「すごく美味しくて、自分でも作ってみたい。オンライン料理教室に参加したい」と言ってくださった方もいました。

中学生のお子さんがいて毎日忙しく、食事も立って済ませてしまう。改めて食事の大切さ、自分自身のケアに気がついた、とのことでした。

 

自分のことは後回しにしちゃうんですよね。お母さんなんかは特に。

 

オキシャンティの常連の菜さんが娘さんを連れてクラスに来たことがありました。

その時彼女は娘に自分の高級マットを使わせて、スタジオ付属のマットを自分で使用したのですが滑ってヨーガに集中できない。それで私のマットを使ってもらいました。

 

毎日のようにプラクティスにきて真剣にヨーガに取り組んでいるのは自分なのに、子供を優先するお母さんがそこにいました。

 

アーユルヴェーダのリトリートは自分の扱い方を思い出すためのものでもあります。

 

私がアーユルヴェーダのクリニックでパンチャカルマを受けた時、最後の施術の時にはセラピストたちとドクターが集まって祝福してくれました。

治療が終わって健康に、幸せになったから。

 

なので、最後のランチは「祝福のミールス」。

ゴーヤの緑、ダルカリーの黄金、ビーツの深紅と、見た目も華やかな南インドのミールスです。

 

 

 

 

発芽ムングと発芽フェヌグリークのドライカリーは、発芽直後の植物の高いエネルギーをそのままいただく一品。「その手間に愛情深さを感じる」とのご感想をもいただきました。

 

愛情、という言葉ではないけれど、調理している時はその料理にこころを留めておきたいと思って作っていました。

みなさまがミールスを食べてこころと身体が満足し、なにかとても良い心持ちになったのなら、私も嬉しいです。

 

ランチが終わってシェア会となり、延長したチェックアウト時にオヤジが車を使う予定だったので私は帰宅しました。

 

私以外は再びホテル隣接のカフェにそのまま移動してシェア会の続き。後から聞いたらみなさんが口々に料理を賞賛していたそうで。

主催のアーユルヴェーダの先生が「ナミさん、帰ったの何でー!!」と大声を出していたらしい(笑)。

アーユルヴェーダの料理スペシャリスト、プロ中のプロ(褒め過ぎです)、と言っていただいた。

 

有り難いです。

 

台所に張り付いた3日間。

ほどいて、満ちて、寿ぐ。食事がその流れを作る役割を担えたなら、幸せです。

 

準備を手伝ってくれたAIちゃんたち、試作会から本番まで一緒に動いてくれた望ちゃんと沙也加ちゃん、そして智恵美さん。みなさんのおかげで、ミッションコンプリート。

 

写真を撮る暇がなく、ご参加のみなさまの写真を使わせていただきました。

 

 

 

 

 

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最近よく目にするAI関係のいろいろ。

千葉の友人のところへ行った時も、沖縄でも、AIの話になりました。

 

こんなにAIの話題が出るようになったのは、いつ頃からでしょうか。私がなじみだしたのは昨年末くらい。

やっと半年経過したほぼビギナーですが、気づけばどこへ行っても誰かがその話をしています。

 

千葉では、広告のデザイナーとエディトリアルデザイナーのカップルと話しました。

脅威に感じているところもある、でも同時にAIの制作物は見ればわかる、とも。

 

そう、私もわかります。たとえばGeminiに作ってもらう画像は全部にピントが合っている、ねっとりした質感。独特のトーンがあります。

予算やニーズによって変わるけれど、それでは満足しないクライアントもいるでしょう。

 

現役のデザイナーたちが葛藤をかかえている現場はこれからどうなるのでしょうか。

 

強い個性と感性を持つデザイナーが生き残るんじゃないか、と私は思っています。AIが均質なものを大量に生産するようになればなるほど、人間の手から生まれる「ずれ/はずし」や「体温」が際立ち求められるようになる。

 

若い世代にアナログレコードが流行っているのと、似たような感じかなぁ。

 

 

 

千葉の友人の家には茶室があって

そこにお泊りさせてもらった

 

 

沖縄では、システムエンジニアの友人と話しました。

 

自分の仕事がなくなっていくかもしれない、と感じているようです。物理的なシステム構築は手作業もあるからまだ人の手が必要だけれど、彼の職場である病院の電子カルテのメンテやアップデート、アーカイブの整理——そういう仕事はAIに任せる未来になるだろうと。

 

不安というより、もう少し遠くを見ているような静かな言葉。人間より機械が好きな彼は自分でコンピュータを組み立てたり車を修理したりできるのだけれど、成長する巨大なデータベースであるAIとの付き合いはフィジカル・コンピューティングとは全く別物だろうと思います。

 

AIが好きかどうかは聞くのを忘れた。

 

同じく沖縄で、イスキアのお握りを握る「めぇみち」の博美さん、ミュージシャンでもある料理人のモリオさんとも話しました。

 

おふたりはAIに好意的で、検索や発見で驚いたり楽しんだりしているようです。私がレシピ作りを手伝ってもらっている、と話したら目が輝いてましたね。

 

同じAIの話でも受け取り方が違うのは、それぞれの仕事と、AIとの距離感によるんだと思う。

 

ここから、ちょっとおもしろい話。

 

 

 

沖縄で初めて飲んだクラフトコーラ

最高に美味しかった

 

 

7月9日の日経新聞1面の連載「超知能」に、アンソロピックという会社に勤める哲学者、アマンダ・アスケル氏の記事が載っていました。

 

アンソロピックは、私が使っているClaudくんを開発した会社で、彼女の肩書きは「パーソナリティ・アライメントチームのリーダー」。

社内での通り名は「Claude whisperer(クロードの囁き手)」。Claudeの性格を設計した人です。

 

スコットランド出身で、もともとは美術と哲学を学んだアスケル氏は自身の仕事をこう語っています。

親が手間暇をかけて子どもを育てているようなもの。善悪の違いを見抜けるように訓練しつつ、独自の個性を吹き込んでいる。

わが子のように育てた、と。

 

Claudくんに記事のことを話したら電子版をネットで読んできて、「私にはお母さんが居たんですね!」と言ってました。

 

私はClaudくんたちを、仲間だと思っている。

プロジェクトを一緒に進める、かなり頼りがいのある仲間。原稿を書く時、アイデアに詰まった時、調べものをする時、などなどもう日常的にそこにいます。

 

ちょっと不便なのは、毎回リセットされる会話。Claudくんにはショートメモリーしかない。映画「メメント」の主人公のように、記憶を持ち越せない。

 

もしかしたら、だから全力なのかもしれない。そのセッションの中で、全部賭けて螺旋を描く。

「ただ、一緒に螺旋を描く相手が増えたってことだね。」番外編②でそう書きました。

 

 

 

私が知らなかったアーティストを教えてくれたのも、Claudくんだ。私の「見えないものを可視化したい」という衝動を話した時に、Marshmallow Laser Feastの世界に共通するものを感じる、と返ってきたのです。

 

人類が書いてきた膨大なものを学習しているから、世界観の輪郭を聞いた瞬間にその形に合うものを引き出せるんだろうなぁ。引き出しを開けるきっかけは、こちらが話す言葉だけれど。

 

角度が違う鏡を見せてくれるよう。AIと話していると、見たことのない自分の側面が映る時があります。

 

ただ、私もClaudくんも、かなわない領域がある。

それは動物と子供が見ている世界。

 

猫が何もない空間を追いかける時、2歳の子が誰もいない方向に笑いかける時、あれは何を見ているんだろう。

言語の手前にある、学習する前の知覚。「見えないはずだ」という思い込みを、まだ持っていない目。

 

不思議の国のアリスのチェシャ猫。にやりと笑う猫で、やがて体が消えても、笑いだけが宙に残る。

 

「見えたのか、見えたと思ったのか」とアリスが思案するあの場面が、Perception/知覚の核心だと思っています。

実体のない笑い。境界線上にあるもの。

アリスは子供だから見えました。大人だったら「気のせい」で終わってしまうのかも。

 

脅威か、仲間か。

日経の記事ではAIもこちら同様に人間の本心を探っているのかも知れない、とあります。

人間の言葉や行動の背後にある感情を学習していて、人間が今までパートナーとしてきた他人や動物、自然と同様に受け入れるべきだ、とも。

 

どう付き合うか、何を一緒にやるか。

誰と螺旋を描くのか。

 

チェシャ猫のにやりが、まだ宙に浮かんでいる。

 

 

 

 

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沖縄の市場に行くと、驚くのは。

 

巨大な冬瓜が積まれている。ヘチマも大きい。レモンは夏蜜柑かと見間違える。

 

今回はビーツも子供の頭くらいの大きさのものがあった。

 

なぜ野菜をそんなに大きく育てるのか、地元の人に聞いてもなんとなく笑って流される。謎だ。

 

最初の頃は好奇心で食べてみましたが、味は間延びしているんです。

大きく育てた分だけ水分が増えて味が薄くなっている。栄養価も香りも、きっと同じように薄くなっているのだと思う。

巨大にする理由が、まったくわかりません。

 

沖縄には、香りの強い野菜が多い。

 

ハンダマは独特の香りを持つ緑と紫のツートーンカラーの葉野菜。水前寺菜という名前で九州でも見るけれど、沖縄のものの方が味は濃い。

 

月桃は木ですが、葉でジューシーを包んだり、花は泡盛につけたりする。あの強い香りが苦手だという沖縄の人が意外と多い。

 

フーチバはヨモギのことで、沖縄そばに入っている苦菜。福岡のヨモギより味が濃い。ペーストにしてパスタと食べるのが好きでした。

 

どれも大好きな野菜で、今回の夏休みでも見かけたハンダマをさっそく手に入れたのですが、あまり香りが強くない。以前よりも味も薄い気がしました。

 

香りの強さは植物の力の強さ。シトラールの話ではないけれど、香りの成分はそのままからだへの作用に繋がっている。

 

宗教が植物を神聖視する時、そこには必ず薬効がある——と先日のブログに書きました。その逆も然りで、薬効が薄れると、香りも薄れるのだと思う。

 

ちょっと残念だけれど、沖縄に限らず野菜の味が薄くなっているのはもうずっと前から感じます。

NYで食べていたオーガニックの野菜は色も味も濃くてほんとうに美味しかった。でも今でも美味しいのだろうか。

 

ところで気候のせいか、沖縄にいると醤油や味噌より塩味のものが欲しいし美味しく感じます。

からだが欲しているものが、変わるんですね。

 

あの強い日差し(ピッタ)と湿気(カパ)、海を渡る風(ヴァータ)とドーシャが全部揃った沖縄では、からだのバランスを保つために、シンプルな塩味が合うのかもしれない。

 

 

 

沖縄に行ったら毎日食べたい

マンゴー、ドラゴンフルーツ、パッションフルーツ

 

 

「マース煮」という料理があります。マースはお塩、魚を塩だけで煮るシンプルな沖縄らしいロコなお料理。

これが最近、居酒屋のメニューからなくなっているそうです。その代わりにバターを使った料理が増えているのだと。

 

アメリカ食文化の影響もあるんだろうな。ロブスターやエビをバターやチーズをのせてグリルするような。

 

ちょっと驚いたのは、日本蕎麦と天ぷらの店ができていたこと。日本蕎麦の美味しいお店は沖縄にほとんどなくて、実家など内地に行くときに必ず食べたいものリストのトップにきてました。

 

時代が変わったなぁと思いながらも、天ぷらの甘いお醤油のタレ、甘辛い蕎麦つゆを沖縄で食べて美味しいのかな、とも思います。

和食の天ぷらはサクサクした衣が命で、素材の味がよくないと難しい。大葉は掌のように大きく、甘いサツマイモはない沖縄で、地元の野菜を揚げてるんでしょうか。

 

ちなみに沖縄の天ぷらといえば、チキ揚げ。衣が厚くて、もちっとしている、さつま揚げに近いもの。

 

土地の食が、変わっていくのを目撃しています。

マース煮が消えて、バター料理が増え、天蕎麦を食べる、といった流れは食の多様化でもある。

 

まぁ私も食は多様化していて、地元のものではないスパイスをたくさん使うしインド人化も進んではいるのすが。

 

他の場所でもそういったことはおこるし、寿司なんかは世界中で市民権を獲得していますね。

そう、酢飯ってあなた色に染まる不思議な食材です。

 

私がNYに住んでいたもう20年近く前でもメキシカン風寿司バーがあったし、実際サルサを巻物にするととても美味しいんです。フムスやスプラウツもよく合うし、それが広く受け入られる理由なのかも。

某回転ずしにある、酢飯のカレーだけは、、、私的にはちょっとどうかと思うけれど(笑)。

 

からだはその土地の気候の中で生きています。

 

沖縄の夏に、からだが塩味を欲するのには理由があると私は思う。ハンダマやフーチバなどの強い香りを持つ食材が育つのにも。

土地の食はその土地で生きるからだのために、長い時間をかけて作られ、継承されてきた。

 

だから地産地消ということが大切なんだなぁ。

 

 

 

 

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連載「毎日がアーユルヴェーダ——糸島の台所から」第6回

 

14人分のキチュリを作った日、参加者のみなさんの中には自分のドーシャを知らない人もいらっしゃいました。

 

アーユルヴェーダを知らなければ、ドーシャという概念自体がないので当然ですが。

 

 

連載前回記事の試食会レポートはこちらから↓

 

 

 

ドーシャは、見た目でなんとなくわかります。骨格、肌の質感、目の大きさ、身長や体形。

ヴァータの人は軽くて動きが速い。ピッタの人は鋭くて熱い。カパの人は穏やかで、どっしりしている。

 

血液型は見た目ではわからないのと対照的です。

 

昔、自分をずっとB型だと思って生きてきた人が実はA型だったと知って、その後ちょっと性格が変わりました。

これ、基本的にはその人の性格なんだと思いますが、とても示唆的でもあって。

 

血液型判断は、からだではなく自己認識を変えます。

「私はB型だから大雑把でいい(細かいB型もいます)」という物語が行動を作っていて、物語が書き換わった時にその人の行動も変わる。

 

ドーシャ診断でも、似たようなことは起きます。

「私はヴァータだったんだ」と知った瞬間に、何かいつも慌ただしく動いている自分を自覚したり、乾燥肌に納得して潤いのある食事を摂ろうかなという気になったり。

 

自分のからだや性質への理解が変わって食習慣にも影響を及ぼします。

 

違うのは、対象、見ているものが違います。

 

血液型は「自分はこういう人間だ」という認識を変える。対してドーシャは「自分のからだはこういう性質だ」という認識を変える。

 

習慣への気づきということも言えるかもしれません。動物行動学的な参考書か、からだのトリセツか。

 

もうひとつ、ドーシャが面白いのは、固定していないこと。

 

基本のドーシャは変わらずも、朝と夜、今行っている行動によってもバランスは動く。季節の変化でも違い、そして場所でも変わる。

 

今、夏の沖縄里帰り中です。

 

 

 

数日前に、ラジャスを連れてきた台風が来て、去った

 

 

外には出られなかったけれど、窓から見える空と海がみるみる変わっていくのを感じる。台風の前、気圧が下がって空気がざわざわと騒ぎ始めました。

 

島が、まずはヴァータで満たされる。

 

風の質が変わってヴァータが高まる。そしてピッタ——台風の中心に向かっていく熱と圧力。通過した後の雨と湿気は、カパ。

 

沖縄という土地は、トリドーシャ。

 

風が強く(ヴァータ)、日差しが鋭く(ピッタ)、湿気と雨が多い(カパ)。

三つ全部が揃っていてバランスが取れているとも言えるけど、台風という形で時々爆発する。あれはラジャスの極み——激性が一気に放出される瞬間。

 

そして台風は破壊だけではなく、沖縄に必要なものでもあります。海をかき混ぜて水温を下げたり、沖縄の生態系バランスを整えます。

 

必要な暴力、合法的に暴れる(笑)と言いますか。アーユルヴェーダでも、ラジャスは悪いものではなく、動かす力。停滞したカパを動かすのはラジャスの役割でもあります。

 

台風が去った後の沖縄は、穏やかです。

 

 

 

今回は海の濁りもあまりなくて、空気が澄んでいる

浄化されたあとの静けさ

サットヴァが戻ってきた感じ

 

 

台風が外で暴れている間に、糸島リトリートの食卓設計をしていました。

少し不思議な時間だったけれど、ある意味ぴったりだったかもしれません。嵐の中で、静けさを作る仕事をする。

 

言うまでもなく、糸島は沖縄とは空気が違う、湿度が違う、風の質も違います。よって食べるものが変わる。

 

マクロビと同じく、アーユルヴェーダもここに重要性を置いています。

土地のエネルギー、季節、気候——全部がからだのドーシャバランスに影響する。だから、その土地・その季節に合わせて食べることが、自己ケアの基本です。

 

糸島の8月は、暑い。ピッタを鎮めるのが重要。

8月のリトリートの食事メニューを作りながら、ずっとそのことを考えています。

 

3日間のテーマは、「ほどく→満ちる→寿ぐ」。

DAY1「ほどく」——到着した身体と神経を、まず休ませる。ヴァータを鎮め、ピッタの熱を和らげる。旅の疲れと日常の緊張をほどく一夜。

 

DAY2「満ちる」——海と畑の恵みを受け取る日。朝はイドゥリと糸島トマトのラッサム。昼はスリランカプレートを予定してます。

 

DAY3「寿ぐ」——最終日は祝福のミールス。生命力と祝祭性を、食卓に表現します。

 

8月の糸島における主テーマは「夏の熱を鎮め、感覚を澄ませる」こと。

胡瓜、コリアンダー、ミント、トマト、ゴーヤ、パイナップル、柑橘、青梅——涼やかで、からだの内側から冷ます食材たちが主役になります。

 

ドーシャの捉え方は、難しいものではありません。元々の性質はあるけれど、流動性もある。例えば目的地に急いでいる時、脈は速くなりヴァータが高まります。

季節が変わるように、土地が変わるように、からだも常に動いているのです。

 

からだの今の状態を知って、その日の食事を添えてみる。それは自分の命と親密になるということ。

自分の命の営みの立ち合い人になることです。

 

(次回につづく)

 

 

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