麒麟の翼 | 野球と映画、ときどき…

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麒麟の翼 劇場版・新参者(2011・日本・129分)


監督:土井 裕恭


出演:阿部 寛、溝端 淳平、中井 貴一、新垣 結衣ほか


東野圭吾新規シリーズ「新参者」の劇場版。


加賀恭一郎が被疑者死亡とみられる難解事件の真相に迫る。



テレビで放映されていましたね。


元がテレビシリーズでしたから


今回テレビでご覧になった方も多いのではないでしょうか?



監督は映画「いま、会いにゆきます」の土井監督です。


それがわかった時点で今作はミステリーではなく


ヒューマンドラマなのだろうと予測がつきました。



父と子の絆がテーマですが


看護師役の田中麗奈さんのセリフが心に突き刺さります。


「死にゆく者のメッセージを読み取るのは生きているものの義務。」



事故や事件に巻き込まれて亡くなった方の無念


残された遺族の決して癒されぬ深い悲しみ


劇中、阿部寛演ずる刑事・加賀恭一郎が言います。


どんな悪行をはたらいた人間、罪を犯した人間であろうと


「殺されていい人間などいない」


事件、事故の捜査というのは


その原因や背景を追及することで


再発防止、事故予見という


被害者を生まない、加害者を作らないという


悲しみを一つでも少なくする防衛手段だと思うのです。



この映画では「子どもの為」という言葉が


いい意味と悪い意味とで使われています。


「子どもの為」と言いながら本当に子どもの事を考えていたのは誰か。


真実を隠したがゆえに生み出してしまった被害者と加害者。


学校教育の事なかれ主義に一石を投じた作品だとも思っています。


大津のイジメ事件の学校関係者もこの作品を見ておけばよかったのに。


そして残された遺族が事件後どう生きて行ったらいいのか


この映画では父が息子に託した最後のメッセージに希望の光が垣間見えます。




御巣鷹の飛行機事故で墜落する間際に


家族へ感謝と妻に子供を託すメッセージを残したお父さんを思い出します。


当時、その勇気と覚悟をもっての行動に悲しいけれど感動しました。


自分が絶体絶命の時、残された家族の為に何ができるか、何をするのか。




いい作品なんですよね。


小説としても映画としても。


でも、なんでこの作品を映画にしたのかな?


豪華キャストとを集めるのにお金が要ったのかな?


決して1800円の価値がないと言っているのではありません。


ただ、大きなスクリーンを使って見せる理由


観客にお金を払わせて映画館でわざわざ見てもらう理由がわからない。


海外ロケ、現地ロケもなし、日本橋近辺でのロケ。


CGや3Dでもなし。


こうして公開後1年ほどでテレビ放映されるって十分予測できます。


映画ならではのダイナミックな映像やクローズアップもなし。


上質の白ごはん(ミステリー)に何か甘いものをかけて


全く別物の料理になってしまった感が否めません。


ただテレビでもできることを興行成績が見込めるから


と、いう理由だけで映画にしてはいけないと思います。


それに引き替え同じ作者のフジTV「ガリレオ」シリーズの


「容疑者Xの献身」は映画にして正解だったと思います。


TVシリーズからの映画化に関してはTBSよりフジの方が上手いですね。




私は正直、映画より原作(小説)の方が好きです。


原作を読んでから映画を見るとガックリくるかも。


私は逆だったので小説の素晴らしさで救われました。


映画を見ていない方、映画を見てしまった方


原作を読むかどうかは皆さんの判断に任せます。