DT SWISS製ハブのラチェットシステムの「アップグレード」HOLLOWGRAMホイール編 | ヒト・モノ・アソビ... 人生を楽しく快適にしてくれる素敵なものたち

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スポーツサイクルの空走時のホイールの転がりや伝達駆動力の効率を左右する要素にリアホイールの「ラチェット(フリー)機構」があります。ラチェット(フリー)はペダルを漕がない「空走時」にスプロケットを空転させてホイールだけを軽快に回転させるための機構で、同時に駆動の際の力を無駄なくスプロケットからホイールに伝える駆動伝達の大きな役割を担っています。ホイール/ハブを製造するメーカー各社はこのリアホイールに備わった「ラチェット(フリー)」機構に独自性を持たせ、ホイールの機能/性能として特徴づけています。多くのメーカーがラチェット機構をすべてのモデルで共通して採用する傾向ですが、DT SWISSでは用途やグレードに応じて複数の構造を使い分け、コストに応じた最適機能の組み合わせを提案した商品構成を実現しています。例えばDT SWISSでは伝達トルクが数倍に及ぶ「E-bike」用のラチェット構造を準備していたり、価格帯に応じてラチェット機構も分けて(グレイディング)作り分け、それぞれの価格帯で高いコストパフォーマンスを実現しています。


この「グレイディング」の構成を活用して、手持ちのホイールを「アップグレード」することができる、ことも「DT SWISS」の大きなメリットと言えます。DT SWISSのラチェット構造は大別して「EXP」「スターラチェット」「3ポール」に分けられます。さらに細かく性能を向上機構を持っていますが、大別はこの3つです。中でも「3ポール」はカンパニョーロに代表される、多くのホイールメーカーに採用される構造ですが、DT SWISSでの位置づけは「普及価格帯」向けとなります。そこでこの3ポールを「スターラチェット化」する「アップグレード」が用意されています。スターラチェットと区別するため「ラチェットLN」と呼ばれていますが構成部品の基幹はスターラチェットそのもので、信頼性も発展性もスターラチェットへと性能向上できるというわけです。


今回の作業はキャノンデール社のオリジナルホイール「HollowGram」です。このホイールにはDT SWISSのハブが採用されています。高性能のカーボンリム、スポーク、ハブ本体に較べると「3ポール」のラチェット機構だけが残念な部分です。これをラチェットLNに「アップグレード」してみることにします。
作業はシンプルです。3ポール用のフリーボディを取り除き、ハブシェルに組(ネジ)込まれたリングナットを取り除きます。ラチェットLNの構成部品はスターラチェットそのもので、リングナットx2、スプリングx2、スプラインリング、ベアリングワッシャーで構成されていて、3ポールのリングナットを取り除いた箇所にこれらを順序に沿って組緩めるみ込んでいきます。必要なものは3ポールのリングナットを緩めて取り除くオラブルための専よう用工具、そしてスターラチェット用のリングナットをねじ込むための専用工具が必要になります。ところで今回はラチェットの歯数に「36T」を選ぶことにします。ラチェットリングは18T、(24T)、36T、54Tなどがあり、多いほど良いというものではありませんが、伝達トルク、遊び角、耐久性などから最適なものにします。スターラチェットにアップグレードすることで、用途や性能に応じて手軽に変更できる、もこのアップグレードのメリットの一つです。


乗り手の強大な踏力によってキツく締まったリングナットを緩めることは本当に大変でしたが、無事に作業が終わりました。さらにスターラチェット化することのメリットは「メインテナンス性の向上」です。「3ポール」構造でもスプロケットをつけたまま、工具なしで、ラチェット機構のメインテナンスは可能ですが、小さな爪やスプリングで構成されている3ポールと比較すると圧倒的に容易でトラブル発生の原因も排除できる点です。

そしてこのアップグレードはキャノンデール製「HOLLOWGRAM」ホイールの全てに対して実施可能であり、その他DT SWISS製の3ポールラチェット構造を採用するホイールにも対応しています。

これで、このホイールはさらに「無敵」になりました♪ 


作業するのはこんなホイール 「HOLLOWGRAM」キャノンデール製ですがハブはDT SWISSです


3ポールも工具不要でアクセスできますが・・・

必要な工具はコレ
・3ポールリングナットツール x1
・スターラチェットルングナットツール x1

 


ツールをバイスにセット

aiスで
そこにホイールをセットして満身の力をかけて緩めます モンキーレンチでは無理でしょう 工具が壊れる可能性がありますので必ずバイスで

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外した「3ポール」用の構成パーツ
これから組み込む「スターラチェット」用の構成パーツ
これだけ数がちがいます


順序通りに組んでいきます 組み立ても工具不要♪
 


ハイ、出来上がり♪

ラチェット機構のメインテナンスはスプロケットを組んだまま、「工具不要」でカンタンOKです♪