「沖」潮鳴集同人・大分支部所属の
堀園子さんが
句集『水杵』を上梓されました。
句集の序文では能村研三主宰が次のように書かれています。
水杵の次の音待つ烏瓜
句集名となった「水杵」とは、小鹿田焼の里で集落の中を川が流れ、その川の水を利用して陶土を砕く唐臼と水杵が静かな山間の村にコン、コンと響き渡るが、その音を詠んだものである。
私も何度か小鹿田焼の里に堀園子さんをはじめ大分支部の方々と一緒にご案内いただいていて、この句を拝見して小鹿田を訪れた時のことが蘇ってきた。
「小鹿田焼の里」は大分県日田市の北部に位置し、高塚山の麓の通称皿山にあり、山からの豊かな水を利用して陶土を砕く水杵と大きな唐臼は小鹿田のシンボルともいえる木製の土作り装置である。唐臼は川の水流を利用して餅つきの杵のように原土を粉砕していく様子は、しばし見とれてしまうほどの趣がある。水の流れ落ちる音と杵が陶土をつく音が村中にこだまして、皿山の旅情を一層盛り上げてくれる。上がりきれば、水が全て抜ける為、杵の先の重さが増し、臼へと突き刺さる。数分毎にこの動作が繰り返されていき、約二十日から一か月かけて土が粉砕される。この音は「日本の音風景百選」にも選ばれるほどだそうだ。
序文より
≪著者略歴≫
堀 園子
1937年 大分市生まれ
1999年 『沖』入会
2014年 『沖』潮鳴集同人
俳人協会会員
発行:令和4年3月30日
序:能村研三
跋:田辺博充
発行所:文學の森
定価:2200円+税