とある氏子さんが、先日、伐木祭(ばつぼくさい)の御依頼でおいでになりました。

御自宅のお庭に、代々「御神木」と言い伝えられた木がおありだったのですが、

羽根アリにやられてしまい、切り倒すべき状態であるとのことで、

その奉告、お祓いと報賽(ほうさい。=御礼を申し上げること)、

そして伐採工事の安全祈願、という内容の社頭祈願を致しました。

 

伐木清祓は、出張祭典として現地に伺うのが基本ですが、社頭祈願でも可能です。

長年、お庭にあった木を切り倒すときには、

その旨を大地の神さま、氏神さまに奉告し、

木にやどる神さまにも御礼を申し上げ、これからは天にお昇り頂き、

末永く、一家の守り神となってくださいますようにと祈願を致します。

併せて、このあと始まる伐採工事が無事に成し遂げられますように、

安全を乞い願います。

 

「お祓いをしないで木を切るのは、駄目でしょうか」

というお問合せがときどきありますが、ほかの件でも申し上げておりますように、

「気になる、とお思いのときは、お祓いをされるのが良いと思います」

というのが私(=宮司)からの返答です。

 

神道では、自然のあらゆるものに神さまが宿られると考えますし、

古い樹木、特に「御神木」と言い伝えられているような木でしたら、

粗末に扱うことには、多くの場合、抵抗がおありと思います。

何もせず切り倒したあと、もし好ましくないことが起こったりしますと、

「やはりあのとき木を切ってしまったのが悪かったのではないか」

と、おそらく不安にお感じになることでしょう。

そうならないように、事前に神さまに奉告し清祓いを行うことが、

木そのものとともに、御家族の皆様のお心を大切にすることにもなると思います。

 

社頭での伐木祭の場合も、祭典後、お清め塩と御神酒をお授け致しますので、

どうぞ御家族さまの手で、感謝を込めて、樹木をお清めされてください。