先日、草履を新しく買いました。
これまで履いていたのは、なんと大昔に、
國學院大学で神職養成講習会を受講するときに購入したもので、
長い年月、足にしっくり馴染んで具合が良くなっていたのですが、
ついに、底の部分、いわゆるソールが、完全にダメになりました。
新品の草履は美しくて嬉しかったのですが、履いてみると、固くて痛くて困りました。
鼻緒が固いのは致し方ないので、室内での試し履きのときに、ほぐすようにはしたのですが、
なかなか、古い草履が体の一部のように馴染んでいたので、違和感がなくなりませんでした。
思えば、昔、神職養成講習会の初日には、
若かった私は、履き慣れない草履で歩きづらく、本当に困ったものでした。
それが、四十日間の講習に通う間に、どんどん馴染んで行って、
しまいには草履を履いたまま走れるようになっていたのですから、
あれからあの草履と私(=宮司)は、文字通り一体となっていたのですね(笑)。
そういえば昨年秋、宮ヶ瀬神社で巫女舞装束一式を新調したのですが、
小学生の巫女舞の皆さんが、真新しい草履が痛くて「歩けん~」と言っていました。
実際の舞をするときは、社殿にあがって足袋になっていますので、
足が痛いということはなかったのですが、
写真撮影など屋外で並ぶときは草履を履いて貰わなければなりませんでしたので、
可哀想なことをしてしまいました。
手で引っ張ったり、椅子に座った状態で履いて足に馴染ませたりと
方法を提案してやって貰いましたが、
巫女さんの草履は代々受け継がれますので、あまり広げすぎてもいけないでしょうし、
加減が難しいところでした。
最近は、日々の暮らしの中で和服を着ることがほとんどなくなりました。
昭和の頃までは、それでも、秋祭やお正月などには、
晴れ着の四つ身を着たお嬢ちゃんたちをよくお見かけしたものでしたが、
最近は子供さん方が和服で正装する機会というと、七五三くらいでしょうか。
私たち大人も、足袋や草履には不慣れになっていると思います。
私自身、これから履く機会を多くして、
新しい草履を早く足に慣らしてやらなければと、思ったことでした。