レモンクッキーのひみつ | くま店長のレモンクッキーのかけら
あの日は よく晴れていた
秘密の階段からは すきとおるように富士山が見えた

「今日のおやつは特別でーす 皆さん静かにたべましょう」
と大きな声で先生は クッキーを配りはじめる
ひざ下までの かわいいエプロンがひらひらと揺れる
教室を飛び出した こどもたちは園庭に面した廊下に散り散り
土ぼこりの舞う すのこの上
お揃いの水色のスモックを着させられたこどもたち
お約束を守り、不思議なくらいに あたりは静かだった

両手に持たされた レモンクッキー
ちょっと甘くて ちょっと湿気った レモンクッキー
キライなのに好きなフリした レモンクッキー
無心で食べた レモンクッキー
幼くて せつない レモンクッキー
やわらかな光がさしていた 昼下がり


スピーカーから つたないギターが聞こえてきた
【昼下がりのレモンクッキー】
勝手にタイトルをつけたぼく
切なさ60%で 微笑んだ