細い指の先には | くま店長のレモンクッキーのかけら


くま店長のレモンクッキーのかけら

ポットには たっぷり2杯は楽しめるだろう

あたたかいアールグレイ・・

彼女は小鳥のさえずりのような声のおしゃべりの中

1杯目の紅茶をカップにそそいだ


何かが彼女を夢中にさせているみたいだ

彼女の声が前よりも羽がはえたように軽やかに弾み

飛んでははねてをくり返している


独特の香りのあるアールグレイを おさとうなしで

ひとくち 「こくんっ」 と飲む

紅茶よりもちょっと早いペースで会話は続いていく・・


3連休の真ん中の日曜日

空にはあまりにも おだやかすぎる青色が広げられていた


2杯目の紅茶がそそがれる頃

彼女は本日のおやつに 「和栗のモンブラン」 を選んだ


女性らしい細い指・・ちょっと先の銀色のフォークがはかなくも確実に

彼女の小さな口にモンブランを届けている

真剣にケーキを食べる彼女の横顔を

ぼくはこっそりと見ていた・・・


上品な仕草・・小さな女の子みたいな笑顔・・

めまぐるしく場面のかわる映画みたい!!


聡明な瞳の彼女の横顔は ぼくが何度も見た

古きよき時代のモノクロ映画の中の

オードリー・ヘップバーンのようだった


ぼくはこの映画を特等席で ゆったりと見ていた


そう 上映時間 「紅茶2杯分」の・・・