石川佳純 27歳
日本を代表する
女子卓球選手
うれしい・・・
・・・うれしい
涙が溢れて言葉が出ない
沈黙が続く
一生懸命に小さな声を絞り出す
うれしい
たくさんの人に 感謝したい
ありがとう ございます
涙が止まらない
決勝の相手は伊藤美誠
今急成長の世界ランカー
超攻撃的で飛びぬけた技術センス
伊藤が圧倒的に有利と思われた
対する石川佳純は守備的でラリーを得意とする
対照的なふたり
福原愛と共に
今まで日本代表をけん引してきた
若手の台頭が激しい女子卓球界においては
精神的にも、体力的にもとても厳しい大会だった
序盤は大方の予想通り
伊藤が圧倒する展開
変化自在のラケットから繰り出される
トリッキーな球種に翻弄されながらも
必死に食いついていく展開
形勢不利のまま1-3で迎えた第5ゲーム
石川佳純の必死さが
伊藤のミスを誘う
油断が生み出したミスか
石川はそこを見逃さない
一気にゲームの流れが変わった
チャンスボールのミス
ここを攻めるしかない
このままでは終われない
石川佳純が吹っ切れた
守備的な石川が攻撃へ転じる
あまりの出来事に勢いを戻せない伊藤
リズムを崩していく
焦るば焦るほど
流れはもう止められない
試合は終わった
二人は茫然とコートに立ち尽くす
時は完全に止まっていた
負けたことを理解してうつむく伊藤
涙が溢れてしゃがみ込む石川
その姿を延々映し続けられる映像
あまりの出来事に言葉を失う解説者
全日本卓球選手権 女子シングル
優勝 石川佳純
5年ぶり5度目の優勝
5年間は長かった
若手の台頭
しかも既に世界を凌駕している
自分を見失った時期もあった
もう無理なんじゃないかと思ったこともあった
いろいろ言われることもいっぱいあった
でもそうじゃないんだ!
と自分に言い聞かせていた
卓球は教えてくれた
自分の可能性を信じて・・
自分を信じないとだめだと思った
挑戦することでしか結果は得られない
自分が挑戦を続けることで
がんばって結果を出すことで
同じ思いをしている人に勇気を届けたい
まだまだやれる
まだまだやりたい!
偶然のオリンピック延期が私を変えた
1年延びてまだできることがあると思った
弱かったフィジカルを徹底的に鍛えなおした
メンタルトレーニングも取り入れた
集中力も上げた
今回はチャレンジャーとして挑んだ
みんな年下だけど
私より強い
プレッシャーはなかった
自分がどれぐらいできるか楽しみだった
本来いるはずの観客がそこにはいない
静寂に包まれたコートには
涙を必死にこらえて
それでもファンに何かを伝えようとする
石川佳純
黙ってベンチに腰掛けうつむく
伊藤美誠
とても仲の良い二人
残酷なほどの現実
きっとここから
日本の卓球はもっともっと強くなる
そう思ったファンは少なくなかったはず


