氷上のシンデレラ | アスユメ_labo.通信

アスユメ_labo.通信

アスリートの
アスのユメを叶えるチカラ
それがアスユメLabo.

すべてのアスリートと
ファンのみなさまに熱い思いを伝えます



大人へ向かう氷上のシンデレラ
そのまなざしは
遥かなる未来の自分を見つめている

三原舞依

11月28日
2期ぶりの現役復活を果たした
グランプリシリーズ NHK 杯大阪ドーム

すごくウルウルしていて
最後の方は前が見えなかった
観客の皆様の拍手が
音楽より大きな音で聞こえてきた

難病を乗り越えて戻ってきた三原舞依
帰ってきた氷上のシンデレラに
ギャラリーは
歓喜のエールを贈り続けていた

若年性突発性関節炎と言う難病
両膝が激痛に襲われるという
フィギュアスケーターにとっては
非常に辛い難病
最悪の場合
関節が壊れたり
命に危険が及ぶこともある

そんな苦難を乗り越えて
三原舞依は戻ってきた

休業期間中も
ブレなかったのは
その「志し」

リンクへ出向いても
滑ることが出来なかった日もあった
心身のバランスに悩む日々が続いた

しかし
一度決めたことは貫いてきた

メンタルのバランスを保ってきたもの
それは
自分を応援してきてくれた人たちへの恩返し

自らの髪をばっさりと切った
ヘアドネーションである
脱毛症や欠乏症小児がんなどの治療で
頭髪の悩みを抱える人たちへ
寄付をされた髪で
作られたウィッグを送る活動を行っている

三原舞依は
にこやかに微笑む

春に比べると
ちょっと髪の毛が伸びてきているので
冬に向けては
ちょっと暖かくなるかなって思っています
初めは一人の方の心を救えたらいいなって
色々な方に支えてもらってきたので
その恩返しが誰かに届けばいいなって思っています
髪の毛を切れる長さに到達した時は
すごく嬉しい!
やっと寄付できる!
少しでも貢献ができればと思っているので
これから先もずっとしていくつもり

感謝の気持ちは
スケートに対しても同じ
しっかり感謝を届ける

12月27日
全日本選手権ショートプログラム
69.55で3位

全体を通してまだまだ弱さがたくさんある
もっと力強さを感じられる演技をしないと
見ていて迫力がない・・

病気を患う前
世界のトップで戦って来た彼女は
全日本に善戦を求めているわけではない

自分の持っている
最高のパフォーマンスでなければ
意味がない

コーチからは
しっかり戦えるところまで戻ってきている
と言ってもらっている
自分の中ではまだまだと思っているけど
毎日練習する中で
体や気持ちをコントロールすればいいのか
見つけられつつあるのかな
体力が戻ってきているので
あとは自信を持って練習
練習は裏切らない!

そう言ってフリーに挑んだ

結果は総合5位
大健闘のはず

でも違う

試合でベストを発揮できないのは弱さの一つ
それは気持ちの持っていき方にあるかもしれない
まだまだフツーの人
しっかりしたスケーターになれるように
練習を積んでいきたい
今日の結果は満足していない

2021年はどんどん大人になって
レベルアップした三原舞依になって
感謝を伝えたい

命を燃やし尽くすような
切なく情熱的な表現力
ノーミスの天使と呼ばれる
その卓越したテクニック
そして
三原舞依を支える
比類なきメンタリティ

愛しい微笑みに
ふと覗かせる
悲しみを悟ってしまった
シンデレラの横顔
すべてのギャラリーは心を奪われる

大人へ向かう氷上のシンデレラ
そのまなざしは
遥かなる未来の自分を見つめている

                                                  written by Kaz Okayasu